判旨
地方裁判所が第一審として下した判決に対する上訴は、管轄権を有する高等裁判所になされるべきであり、誤って最高裁判所に上告がなされた場合には、管轄権を有する高等裁判所に移送すべきである。
問題の所在(論点)
地方裁判所が第一審として言い渡した判決に対し、誤って最高裁判所に上告の申し立てがなされた場合、最高裁判所はどのような措置を講じるべきか。管轄権の有無と移送の可否が問題となる。
規範
裁判所法16条3号および民事訴訟法(昭和23年法律第149号)393条1項(現行法311条1項参照)に基づき、地方裁判所が第一審としてした終局判決に対する上訴(上告)は原則として高等裁判所の管轄に属する。また、管轄違いの訴えが提起された場合、裁判所は民事訴訟法30条(現行法16条1項参照)に基づき、決定をもって管轄裁判所に移送しなければならない。
重要事実
上告人は、新潟地方裁判所が第一審として言い渡した調停無効確認事件の判決に対し、最高裁判所を宛先として上告の申し立てを行った。しかし、当該事案は地方裁判所の第一審判決に対するものであるため、最高裁判所には直接の管轄権がなかった。
あてはめ
本件における新潟地方裁判所の判決は、同裁判所が第一審として下したものである。裁判所法16条3号等の規定によれば、本件の管轄権は東京高等裁判所に属し、最高裁判所の管轄には属さない。したがって、管轄違いであることを理由として、民事訴訟法30条を適用し、管轄権を有する裁判所へ事件を移すのが相当であると判断される。
結論
本件上告は最高裁判所の管轄に属さず、東京高等裁判所の管轄に属するため、同裁判所に移送する。
実務上の射程
本決定は、上訴の管轄を誤った場合における裁判所の移送義務を確認するものである。実務上、地裁第一審判決に対する跳躍上告(民訴法311条2項)の合意がない限り、控訴・上告の管轄を誤った申し立ては本決定の手続きに従い移送の対象となる。答案上は、管轄違いの申立てに対する裁判所の処理(移送義務)を論じる際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和28(オ)1151 / 裁判年月日: 昭和29年10月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律に基づき、上告理由が特例の要件に該当せず、法令の解釈に関する重要な主張を含まないと判断される場合には、上告が棄却される。 第1 事案の概要:上告人が提起した民事上告事件において、その上告理由の当否が争われた。具体的な事案の内容や下級審の判断につ…