判旨
権利能力なき社団の代表者が、当該団体の代表権のみならず管理権を有すると認められる場合には、その管理権に基づき、団体の目的のために訴訟を提起することができる。
問題の所在(論点)
権利能力なき社団の代表者が、当該団体の財産管理権に基づき訴訟を提起することができるか。特に、代表権の有無が管理権の認定、ひいては訴訟追行権限にどのように影響するかが問題となる。
規範
権利能力なき社団において、ある者が会長として一切の代表権を有する場合には、特段の事情がない限り、当該社団の財産に対する管理権も有するものと認められる。そして、この管理権に基づき、社団の目的を達成するために必要な訴訟を提起する権限が認められる。
重要事実
被上告人は「本件講会」と称する団体の会長であった。被上告人が当該団体の会長として一切の代表権を有することについては当事者間に争いがなかった。被上告人は、この立場に基づき、団体の利益を守るために本件訴訟を提起した。これに対し、上告人側は被上告人の当事者適格や提訴権限を争い、上告した。
あてはめ
本件において、被上告人が本件講会の会長として一切の代表権を有することは当事者間に争いがない。この事実に照らせば、他に反証がない限り、被上告人は当該団体の包括的な管理権を有するものといえる。したがって、被上告人はこの管理権に基づき、本件訴訟を提起する適法な権限を有すると解される。原審が同趣旨に基づき被上告人の提訴を適法とした判断に不合理な点はない。
結論
被上告人は本件講会の管理権に基づき、本訴を提起する権限を有する。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
権利能力なき社団の代表者が個人名義で(あるいは代表者として)提訴する際の当事者適格・訴訟追行権の根拠として利用できる。代表権の存在から管理権を推認し、管理権から訴訟権限を導くロジックは、民事訴訟法上の当事者能力や適格の問題を論じる際の基礎となる。
事件番号: 昭和34(オ)130 / 裁判年月日: 昭和37年12月18日 / 結論: 棄却
代表者の定めがある民法上の組合は、訴訟当事者能力を有する。