頼母子講自体に当事者能力があるとしても、講管理人に掛戻金請求訴訟の原告としての当事者適格を認める妨げとならない。
頼母子講の当事者能力と講管理人の当事者適格の関係。
民訴法46条
判旨
頼母子講の管理人が、講金の取立や支払等について一切の権限を有する場合、当該管理人は自己の名において講金に関する訴訟を提起する当事者適格を有する。
問題の所在(論点)
頼母子講の管理人が、講の業務範囲内にある債権の回収について、自己の名で訴えを提起する当事者適格を有するか。また、講自体に当事者能力が認められ得る場合に管理人の適格に影響するか。
規範
組織としての実態を備えた頼母子講において、その管理人が講金の取立、支払等について一切の権限を付与されている場合には、管理人は当該講の業務に関する訴訟について、自己の名において当事者となる資格(当事者適格)を有する。この場合、仮に講自体に当事者能力が認められる場合であっても、管理人の当事者適格は妨げられない。
重要事実
被上告人は「D講」と称する日掛頼母子講の管理人であった。被上告人は、同講における講金の取立や支払等について一切の権限を有していた。上告人は、同講の20口に加入して落札給付を受けた後、その返掛債務について被上告人との間で準消費貸借契約を締結したが、その支払が滞ったため、管理人である被上告人が自己の名において支払を求めて提訴した。これに対し上告人は、被上告人には当事者適格がないと主張して争った。
あてはめ
本件におけるD講は一定の組織性を備えており、被上告人はその管理人として講金の取立や支払に関する一切の権限を認められていた。このような実態下では、管理人は講の業務を遂行するために必要な範囲で、訴訟当事者となる権限も包含していると解される。また、被上告人と上告人との間には直接準消費貸借契約も締結されており、管理人が権利行使の主体となる合意や実態が存在する。したがって、管理人は自己の名で当事者となる適格を有し、講自体の当事者能力の有無はこれを左右しない。
結論
被上告人は本件訴訟について当事者適格を有し、自己の名において訴訟を追行することができる。したがって、本件訴えを適法とした原審の判断は正当である。
実務上の射程
権利能力なき社団の管理人が、実質的な管理権限を根拠に任意的訴訟担当として認められる端緒となった判例である。答案上では、規約等により「一切の権限」が与えられている場合に、明文なき任意的訴訟担当が認められるかという文脈で活用できる。ただし、現在の実務・通説では、弁護士法72条の潜脱を避けるため、業務執行の必要性と合理的な理由が厳格に求められる点に留意が必要である。
事件番号: 昭和41(オ)1295 / 裁判年月日: 昭和42年3月31日 / 結論: 棄却
原審認定の事実関係(原判決理由参照)のもとにおける組合類似の頼母子講にあつては、未取口者のみの申合せによつて、講世話人の取立および落札の方法を中止し、その後は未取口者が一体となつて既取口者に対しその掛戻金の支払を請求できるものと解するのが相当である。