一 民法上の組合的性質を有する頼母子講は、講の会合がすすむにつれて、講金の既落札者間における消費貸借の性質が増加し、組合性が後退するため、未落札者全員のみで解散を決定することができる。 二 前項の場合の清算手続においては、既落札者は、返掛金について分割弁済の利益を失わない。
一 民法上の組合的性質を有する頼母子講の性質とその解散 二 未落札者全員のみでした前項の頼母子講の解散と既落札者の返掛金債務の分割弁済の利益
民法667条,民法136条
判旨
民法上の組合的性質を有する頼母子講において、講が進行し消費貸借的性質が強まった段階では、未落札者全員の合意により解散を決定できる。この際、既落札者に対する返掛金請求権は未落札者全員に帰属し、共同して取立てを行うことが可能である。
問題の所在(論点)
頼母子講が運営困難に陥った場合において、未落札者全員の合意のみによって講を解散し、既落札者に対して共同して返掛金の請求をなしうるか。民法上の組合規定の適用の可否が問題となる。
規範
民法上の組合的性質を有する頼母子講は、設立当初は組合性が濃厚であるが、回を重ねるにつれて既落札者と未落札者間の消費貸借的性質が増加し、組合性が後退する。そのため、解散については民法の組合規定(682条、683条等)をそのまま適用せず、未落札者全員の一致によって決定することができる。ただし、清算において既落札者の分割弁済の利益を喪失させることはできない。
重要事実
Dが単独で発起人となり、世話人として講金の徴収・貸付等の業務一切を責任を持って行っていた頼母子講において、Dが死亡し後任の業務執行者が選任されないまま円滑な運営が困難となった。そこで、未落札者全員(被上告人および選定者ら)が一致して講の解散を決定し、既落札者である上告人らに対して返掛金の支払いを求めた事案。
あてはめ
本件頼母子講はDの死亡により業務執行者が不在となり運営が停滞していた。講の性質は進行に伴い消費貸借的側面が強まっているため、組合規定を直に適用せずとも、未落札者全員が一致して解散を判断することは正当である。既落札者は返掛金の分割弁済という期限の利益を享受しているものの、その支払義務自体は否定されず、請求権者は解散時の未落札者全員に帰属する。したがって、未落札者らが共同して清算事務を行い、既落札者に請求することは適法といえる。
結論
未落札者全員の一致による解散は有効であり、未落札者らは既落札者に対して共同して返掛金の取立てを行うことができる。
実務上の射程
権利能力なき社団や組合的性質を持つ特殊な契約関係(頼母子講等)の解散・清算における民法規定の修正適用を示す。組織の性質が時間経過とともに変容する場合、当初の団体性よりも実質的な利害関係(未落札者の債権者性)を優先して解散権を認める判断枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和33(オ)677 / 裁判年月日: 昭和35年6月28日 / 結論: 棄却
頼母子講自体に当事者能力があるとしても、講管理人に掛戻金請求訴訟の原告としての当事者適格を認める妨げとならない。
事件番号: 昭和49(オ)126 / 裁判年月日: 昭和51年7月1日 / 結論: 棄却
民法上の組合の性質を有する頼母子講の業務執行者である講元が破産宣告を受けたときは、その業務執行権は消滅する。