民法上の組合の性質を有する頼母子講の業務執行者である講元が破産宣告を受けたときは、その業務執行権は消滅する。
民法上の組合の性質を有する頼母子講の業務執行者の破産と業務執行権の帰趨
民法653条,信託法42条1項
判旨
民法上の組合契約の性質を有する「講」において、業務執行者の地位にある講元が破産宣告を受けた場合には、その業務執行権は消滅する。
問題の所在(論点)
民法上の組合の性質を有する「講」において、業務執行者である講元が破産宣告を受けた場合、その業務執行権は消滅するか。組合員の脱退事由(民法679条2号)および委任の終了事由(民法653条2号)との関係が問題となる。
規範
講契約が単なる講元と各講員間の個別的な契約関係にとどまらず、民法上の組合契約(民法667条1項)の性質を有する場合、講元は組合の業務執行者の地位にあるものと解される。そして、業務執行者が破産手続開始の決定を受けたときは、委任の規定が準用される結果(民法671条、653条2号)、その業務執行権は消滅する。
重要事実
講(無尽に類似した相互扶助組織)の運営において、講元Dと複数の講員との間で契約が締結された。原審は、本件講が単なる個別契約の集合体ではなく、共同事業を営む民法上の組合としての実態を備えており、講元Dがその業務執行者であると認定した。その後、講元Dについて破産宣告(現行法の破産手続開始決定)がなされたため、その業務執行権の成否が争点となった。
あてはめ
本件の講は民法上の組合契約の性質を保有しており、講元Dは組合員であると同時に業務執行者の地位を有していた。民法上の組合において、業務執行権は委任の規定を準用するため(民法671条)、受任者の破産を終了事由とする民法653条2号が適用される。したがって、講元Dが破産宣告を受けたという事実に伴い、法理上当然にその業務執行権は消滅したものと評価される。
結論
講元が破産宣告を受けたことにより、当該講における業務執行権は消滅する。
実務上の射程
本判決は、講や無尽といった伝統的な組織であっても、その実態が組合と認められる限り、民法の組合規定および委任規定が適用されることを示した。答案上は、組合員の破産が「脱退事由」となるだけでなく、同時に「業務執行権の消滅事由」にもなることを論証する際に活用できる。
事件番号: 昭和40(オ)1339 / 裁判年月日: 昭和42年4月18日 / 結論: 棄却
一 民法上の組合的性質を有する頼母子講は、講の会合がすすむにつれて、講金の既落札者間における消費貸借の性質が増加し、組合性が後退するため、未落札者全員のみで解散を決定することができる。 二 前項の場合の清算手続においては、既落札者は、返掛金について分割弁済の利益を失わない。