原審認定の事実関係(原判決理由参照)のもとにおける組合類似の頼母子講にあつては、未取口者のみの申合せによつて、講世話人の取立および落札の方法を中止し、その後は未取口者が一体となつて既取口者に対しその掛戻金の支払を請求できるものと解するのが相当である。
頼母子講の未取口者のみの申合せによつて掛戻金取立方法の変更ができるとされた事例
民法667条
判旨
組合類似の性質を有する頼母子講において、運営が行き詰まり落札による方法が中止された場合、講は事実上の解散状態となり、未取口者は一体となって既取口者に対し掛戻金の支払を請求できる。
問題の所在(論点)
頼母子講が事実上の解散状態に陥った場合において、未取口講員が一体となって既取口講員に対し、世話人を介さずに直接掛戻金の支払を請求することが認められるか。
規範
講員が一団となって全員の事業として運営する組合類似の性質を有する頼母子講において、運営の停滞により正常な運営が廃絶されたときは、事実上の解散状態となる。この場合、講員間の関係は、実質的にすでに講金を受領した既取口者(債務者的講員)と未だ受領していない未取口者(債権者的講員)との間における金員支払債務関係に転化する。
重要事実
本件頼母子講は、講員が協力して運営する組合類似の組織であったが、運営が行き詰まり、世話人も意欲を喪失した。昭和32年3月を最後に落札が中止され、未取口講員らは、既取口者からの掛戻金を集めて未取口者に平等に分配する旨の協議・申し合わせを行った。これに対し、既取口者が未取口者らによる直接の支払請求を拒んだ事案である。
あてはめ
本件頼母子講は、講元が自己の責任で運営するものではなく、講員全員の委託を受けた世話人が業務を執行する組合類似の関係である。運営が行き詰まり落札が中止されたことで、講は正常な運営を廃絶し事実上の解散状態となった。これにより、世話人の取立業務を前提とした従来の運営形態は変容し、実質的な債権者である未取口者が一体となって、債務者的地位にある既取口者に対し掛戻金の支払を直接請求できる関係に転化したといえる。
結論
未取口者は、既取口者に対して掛戻金の支払を請求することができる。
実務上の射程
頼母子講の法的性質を「組合類似の契約」と解し、解散後の法律関係を清算的な債権債務関係として構成する際の論拠となる。講元が主体となる「営業的講」か、講員が主体となる「組合的講」かの認定が射程を分ける。答案上は、民法上の組合の規定(667条以下)を念頭に、清算手続の簡略化された形態として論じる。
事件番号: 昭和33(オ)677 / 裁判年月日: 昭和35年6月28日 / 結論: 棄却
頼母子講自体に当事者能力があるとしても、講管理人に掛戻金請求訴訟の原告としての当事者適格を認める妨げとならない。
事件番号: 昭和49(オ)126 / 裁判年月日: 昭和51年7月1日 / 結論: 棄却
民法上の組合の性質を有する頼母子講の業務執行者である講元が破産宣告を受けたときは、その業務執行権は消滅する。