一 入会権者である村落住民が入会団体を形成し、それが権利能力のない社団に当たる場合には、右入会団体は、構成員全員の総有に属する不動産についての総有権確認請求訴訟の原告適格を有する。 二 権利能力のない社団である入会団体の代表者が構成員全員の総有に属する不動産について総有権確認請求訴訟を原告の代表者として追行するには、右入会団体の規約等において右不動産を処分するのに必要とされる総会の議決等の手続による授権を要する。 三 権利能力のない社団である入会団体において、規約等に定められた手続により、構成員全員の総有に属する不動産について代表者でない構成員甲を登記名義人とすることとされた場合には、甲は、右不動産についての登記手続請求訴訟の原告適格を有する。
一 総有権確認請求訴訟において入会団体が原告適格を有する場合 二 権利能力のない社団である入会団体の代表者が総有権確認請求訴訟を原告の代表者として追行する場合における特別の授権の要否 三 権利能力のない社団である入会団体の代表者でない構成員が総有不動産についての登記手続請求訴訟の原告適格を有する場合
民法33条,民法263条,民訴法45条,民訴法46条,民訴法58条
判旨
権利能力のない社団である入会団体は、適切な授権に基づき総有権確認訴訟の原告適格を有し、また、登記名義人となるべく選別された構成員個人も登記手続請求訴訟の原告適格を有する。
問題の所在(論点)
1. 権利能力のない社団である入会団体に、総有権確認訴訟の当事者適格が認められるか。 2. 代表者以外の特定の構成員が、入会団体の不動産について登記手続請求訴訟を追行する当事者適格を有するか。
規範
1. 権利能力のない社団である入会団体は、構成員全員の総有に属する不動産につき、総有権確認請求訴訟を追行する原告適格を有する。ただし、代表者が訴えを提起するには、規約等において当該不動産の処分に必要とされる総会の議決等の授権を要する。 2. 入会団体において、規約等の定めに従い特定の構成員個人を登記名義人とすることとされた場合、当該構成員は(代表者でなくとも)、自己の名で当該不動産の登記手続請求訴訟を追行する原告適格を有する。
事件番号: 平成23(受)2196 / 裁判年月日: 平成26年2月27日 / 結論: 棄却
権利能力のない社団は,構成員全員に総有的に帰属する不動産について,その所有権の登記名義人に対し,当該社団の代表者の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求める訴訟の原告適格を有する。
重要事実
1. 原告A1管理組合は、a町の居住者により構成され、規約・組織・多数決原理・構成員変動への非依存性を備えた、権利能力のない社団としての実体を持つ入会団体である。 2. A1は、本件各土地が構成員全員の総有に属することの確認を求め、訴え提起に際し、規約上の財産処分要件である総会議決による承認を得ていた。 3. 原告A2は、A1の総会における構成員全員一致の議決により、本件各土地の登記名義人とされることが決定されていたが、A1の代表者(組合長)ではなかった。 4. 原審は、A1およびA2のいずれについても原告適格を欠くとして訴えを却下したため、上告に至った。
あてはめ
1. A1は組織性や多数決原則等を備えた権利能力のない社団であり、入会権の団体的色彩に鑑みれば、紛争解決のためにA1自身に当事者適格を認めるのが適切である。また、代表者Dは財産処分に相当する総会議決による授権を得ているため、適法に原告適格を有する。 2. A2については、入会団体名義での登記が不可能な実務上、公示機能を果たすために特定の構成員を名義人とすることは合理的である。構成員全員一致の議決により名義人と定められたことは、登記手続請求訴訟を追行する権限を授与されたものと解され、信託法等の潜脱にも当たらないため、A2に原告適格が認められる。
結論
A1には総有権確認訴訟の、A2には登記手続請求訴訟の原告適格がそれぞれ認められる。したがって、訴えを却下した原判決には法令の解釈適用の誤りがあり、破棄・差し戻しを免れない。
実務上の射程
入会権(総有)の訴訟形態に関し、従来の「全員が当事者となる固有必要的共同訴訟」以外の選択肢(社団自身による訴訟、および選別された構成員による登記訴訟)を認めた重要な判例である。答案上は、当事者適格の有無が問われる場面で、実体的社団性の有無と規約上の授権(処分権限の承認)の有無を分けて検討する際の指標となる。
事件番号: 平成13(受)1697 / 裁判年月日: 平成14年6月7日 / 結論: 破棄自判
預託金会員制のゴルフクラブにおいて,多数決の原則が行われ,構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続し,規約により代表の方法,総会の運営等が定められていること,同クラブには,固定資産又は基本的財産は存しないが,団体として内部的に運営され対外的にも活動するのに必要な収入の仕組みが確保され,かつ,規約に基づいて収支を管理す…
事件番号: 平成18(受)336 / 裁判年月日: 平成20年4月14日 / 結論: 棄却
共有の性質を有する入会権に関する各地方の慣習の効力は,入会権の処分についても及び,入会集団の構成員全員の同意を要件としないで同処分を認める慣習であっても,公序良俗に反するなどその効力を否定すべき特段の事情が認められない限り,有効である。
事件番号: 昭和50(オ)702 / 裁判年月日: 昭和55年2月8日 / 結論: 棄却
権利能力なき社団の複数の代表者の各々が構成員の総有に属する不動産について構成員から信託的に管理権限を与えられている場合であつても、その不動産が右社団にとつて重要な資産であり、代表者全員の共有名義とされているなど、判示の事情があるときには、各代表者は、代表者全員の合意に基づくのでなければ、右管理権限に基づき右不動産につき…
事件番号: 昭和34(オ)650 / 裁判年月日: 昭和41年11月25日 / 結論: その他
入会権確認の訴は、入会権が共有の性質を有するかどうかを問わず、入会権者全員で提起することを要する固有必要的共同訴訟である。