預託金会員制のゴルフクラブにおいて,多数決の原則が行われ,構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続し,規約により代表の方法,総会の運営等が定められていること,同クラブには,固定資産又は基本的財産は存しないが,団体として内部的に運営され対外的にも活動するのに必要な収入の仕組みが確保され,かつ,規約に基づいて収支を管理する体制も備わっていること,同クラブが,ゴルフ場経営会社との間でゴルフ場の経営等に関する協約書を調印し,同会社や会員個人とは別個の独立した存在としての社会的実体を有していることなど判示の事情の下においては,上記クラブは,民訴法29条にいう「法人でない社団」に当たる。
預託金会員制のゴルフクラブが民訴法29条にいう「法人でない社団」に当たるとされた事例
民訴法29条,民法33条,民法第3編第2章契約
判旨
民事訴訟法29条にいう「法人でない社団」として当事者能力が認められるためには、必ずしも固定資産等の独自の財産を有することは不可欠ではない。団体として運営・活動に必要な収入を得る仕組みが確保され、かつ収支を管理する体制が備わっているなど、総合的に観察して社会的実体を有していれば足りる。
問題の所在(論点)
権利能力なき社団の当立要件(民事訴訟法29条)において、団体固有の固定資産や基本的財産を有していることが不可欠な要件となるか。特に、財政的基盤を他者の資金に依存している団体の当事者能力が問題となる。
規範
民訴法29条の「法人でない社団」に当たるためには、①団体としての組織を備え、②多数決の原則が行われ、③構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続し、④代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定している必要がある。財産的側面については、必ずしも固定資産等の基本的財産を要さず、内部的な運営や対外的な活動に必要な収入を得る仕組みが確保され、その収支を管理する体制が備わっているなど、総合的に観察して独立した社会的実体を有していれば足りる。
重要事実
上告人は預託金会員制ゴルフ場の会員で組織された団体であり、規則に基づき総会や理事会が運営され、代表者(理事長)も選任されていた。上告人固有の固定資産や事務所、専属従業員はなく、会計業務の実務はゴルフ場経営会社である被上告人が行っていたが、両者間の「協約書」により、上告人の運営に必要な通常経費は被上告人が負担する仕組みが構築されていた。また、規則上も監事の監査承認を受ける体制があり、被上告人との間で経営監視に関する合意もなされていた。原審は、独自の財政的基盤を欠くとして当事者能力を否定した。
あてはめ
上告人は、規則により代表方法や総会運営が定められ、多数決による意思決定と構成員変更に左右されない存続性を有している(①〜③、④の一部)。財産面については、協約書に基づき運営経費が被上告人から支払われる仕組みが確保されており、規約上の監査体制等を通じて収支を管理する体制も備わっているといえる。さらに、被上告人と対等な立場で経営に関する協約を締結し、これに基づき活動している内容に照らせば、被上告人や会員個人とは別個の独立した社会的実体を有していると評価できる。
結論
上告人は、民訴法29条にいう「法人でない社団」に当たり、当事者能力が認められる。したがって、当事者能力がないとして訴えを却下した原判決は破棄されるべきである。
実務上の射程
当事者能力の要件のうち、特に争点となりやすい「財産管理」の要件を緩和し、固定資産の有無ではなく『収入確保の仕組み』と『収支管理体制』の有無を重視することを明らかにした。ゴルフ場の親睦会や、資金源を外部に頼る外郭団体、マンション管理組合(法人化前)などの当事者能力を検討する際の重要な指針となる。
事件番号: 昭和33(オ)707 / 裁判年月日: 昭和36年1月20日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和50(オ)327 / 裁判年月日: 昭和51年3月23日 / 結論: 棄却
財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定二条二項(a)、財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定について合意された議事録二項(c)にいう大韓民国の財団法人が日本国内において「居住した」ときとは、少なくとも事実上の事務所を持ち、その法人の…
事件番号: 平成23(受)2196 / 裁判年月日: 平成26年2月27日 / 結論: 棄却
権利能力のない社団は,構成員全員に総有的に帰属する不動産について,その所有権の登記名義人に対し,当該社団の代表者の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求める訴訟の原告適格を有する。