判旨
準備書面に記載された事項が口頭弁論で陳述されていない場合であっても、それが法律上の意見にすぎないときは、裁判所がこれと同様の判断を示したとしても違法ではない。
問題の所在(論点)
口頭弁論において陳述されていない準備書面上の記載内容に基づき、裁判所が判決の理由を構成することが、弁論主義または適正手続の観点から違法となるか。
規範
口頭弁論(民訴法148条等)において陳述されていない事項であっても、それが法律上の意見(解釈や法的評価)にすぎない場合には、裁判所は当事者の陳述を待つことなく、職権で法を適用・判断することができる。
重要事実
上告人は、原審において準備書面に記載した特定の事項が口頭弁論で陳述されていないにもかかわらず、原審がその記載内容と同旨の判示(論旨摘録のような判断)をしたことを違法であると主張して上告した。
あてはめ
上告人が指摘する準備書面の各記載は、いずれも「法律上の意見」にすぎない。裁判所は法の適用について専権を有しており、事実認定とは異なり、法律上の意見については当事者の陳述の有無に拘束されない。したがって、原審が陳述のない意見と同様の法的判断を示したとしても、手続上の違法は認められない。
結論
本件上告は棄却される。法律上の意見については、陳述の欠如を理由に原判決を違法とすることはできない。
実務上の射程
弁論主義の対象が事実(主要事実)と証拠に限定され、法の解釈・適用(法律上の意見)には及ばないことを示す。答案上、当事者が主張していない法的構成を裁判所が採用する際の根拠として活用できるが、不意打ち防止の観点からは釈明権の行使等に留意が必要である。
事件番号: 昭和23(オ)29 / 裁判年月日: 昭和23年12月21日 / 結論: 棄却
書証を提出者の不利益に判断し、かえつて相手方の利益に判断しても違法ではない。
事件番号: 昭和36(オ)207 / 裁判年月日: 昭和36年9月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審判決の理由記載において、第一審判決を引用することは民事訴訟法の規定に基づき適法であり、控訴審の独立した裁判を妨げるものではない。 第1 事案の概要:上告人は、控訴審判決が理由の記載において第一審判決を引用したことについて、それが控訴審の不羈独立の裁判を妨げるものであると主張して上告を申し立て…
事件番号: 昭和26(オ)940 / 裁判年月日: 昭和28年12月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決文には事実関係や具体的な法理の判示が含まれておらず、上告理由が事実認定を争うものであること、および上告特例法上の重要な主張を含まないことを理由に、上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:判決文からは不明(原審がなした事実認定の内容や、当事者間の争いの具体的な内容は一切記載されていない)。…
事件番号: 昭和33(オ)26 / 裁判年月日: 昭和34年7月2日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】売買の予約の成立を認めるためには、その前提となる事実について証拠に基づき合理的に認定する必要があり、供述内容が予約ではなく本契約の成立を指している場合には、予約の成立を認めることはできない。 第1 事案の概要:被上告人(原告)が上告人(被告)から土地200坪を単価140円で購入したと主張し、売買一…
事件番号: 昭和28(オ)533 / 裁判年月日: 昭和31年1月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者が明示的に事実を主張していない場合であっても、証拠の申出や弁論の全趣旨から、その事実を主張する意思が認められるのであれば、裁判所は当該事実を認定して判決の基礎とすることができる。 第1 事案の概要:上告人が被上告人に対し請求を行った事案において、被上告人は解除権の留保およびこれに基づく契約解…