共有の性質を有する入会権に関する各地方の慣習の効力は,入会権の処分についても及び,入会集団の構成員全員の同意を要件としないで同処分を認める慣習であっても,公序良俗に反するなどその効力を否定すべき特段の事情が認められない限り,有効である。
共有の性質を有する入会権の処分につき入会集団の構成員全員の同意を要件としない慣習の効力
民法92条,民法251条,民法263条
判旨
共有の性質を有する入会権の処分について、入会集団の構成員全員の同意を要件とせず、役員会の決議等に委ねる旨の慣習がある場合、その慣習が公序良俗に反する等の特段の事情がない限り、当該処分は有効である。
問題の所在(論点)
共有の性質を有する入会権(民法263条)の処分について、構成員全員の同意を必要とするか、あるいは一部の役員決議による処分の慣習を有効と認められるか。
規範
民法263条により共有の性質を有する入会権については各地方の慣習が優先して適用される。入会権の処分に関しても、構成員全員の同意を要件とせず特定の機関(役員会等)の決議に委ねる旨の慣習が存在し、かつその慣習が公序良俗に反する等の特段の事情がない限り、その慣習に基づいた処分は有効である。
重要事実
入会集団であるG組の構成員(世帯主)らは、本件各土地を総有し、共有の性質を有する入会権(民法263条)を有していた。後に権利能力なき社団G区が成立し、土地の管理や固定資産税の納付を承継した。G区では、過去に役員会決議のみで土地を売却した実績があり、規約にも「財産の処分は役員会の総意により決する」旨が記載されていた。G区の代表者(被上告人)は、役員会の全員一致の決議に基づき、本件各土地を交換譲渡する本件交換契約を締結した。これに対し、反対派の住民(上告人)らが、全員の同意がない処分は無効であるとして争った。
事件番号: 昭和34(オ)650 / 裁判年月日: 昭和41年11月25日 / 結論: その他
入会権確認の訴は、入会権が共有の性質を有するかどうかを問わず、入会権者全員で提起することを要する固有必要的共同訴訟である。
あてはめ
本件各土地は長年入会地として利用されておらず、管理・処分はG区の役員会に委ねられてきた実態がある。過去の売却事例や、役員会の総意で決する旨の規約が存在することから、本件交換契約時には、役員会の全員一致の決議に処分を委ねる旨の「本件慣習」が成立していたと認められる。この慣習は、土地の利用状況の変化等に照らしても公序良俗に反するとはいえず有効である。したがって、本件慣習に基づき行われた本件交換契約は有効であり、これに伴い上告人らは入会権を喪失したといえる。
結論
本件交換契約は有効であり、上告人らの請求(入会権の確認・登記抹消等)は棄却される。
実務上の射程
共有の性質を有する入会権であっても、民法251条(全員同意)の原則を離れ、慣習による処分権限の集中を認めた点に実務上の意義がある。答案では、まず共有の性質(263条)を確認しつつ、慣習の存否と内容、およびその公序良俗違反の有無を検討する枠組みで論じる。
事件番号: 昭和53(オ)861 / 裁判年月日: 昭和57年1月22日 / 結論: 棄却
山林原野が代議制をとつた村議会等の多数決による議決に基づいて村有財産として管理処分され、あるいは村当局の監督下において村民に利用されて来たなど、右山林原野の管理利用について部落による共同体的統制の存在を認めるに由ない判示の事実関係のもとにおいては、これに対する共有の性質を有する入会権及び共有の性質を有しない入会権は、と…