いかなる者が、部落民として、入会権を有する部落団体の構成員となるかは、もつぱら、部落の慣習によつて定まる。
入会部落団体の構成員たる地位の取得原因。
民法263条,民法294条
判旨
入会権を有する部落団体の構成員資格は、専ら部落の慣習によって定まる。分家等により新たに一戸を構えた者が入会権を取得するには、権利取得の原因たる当該慣習の存在および内容を主張・立証する必要がある。
問題の所在(論点)
部落民として入会権を有する団体の構成員資格がどのように定まるか、および分家者が当然に入会権を取得すると主張する場合の立証責任の所在が問題となった。
規範
入会権(民法263条、294条)を有する部落団体の構成員資格は、専ら当該部落の慣習によって定まる。したがって、部落民として新たに構成員となり入会権を取得したと主張する者は、一般の権利主張と同様、その権利取得の原因となる慣習の存在および内容を立証しなければならない。
重要事実
a部落には、合計35戸のいわゆる「戸主」が入会権を有するという慣習があった。上告人らは、これら既往の入会権を有する各戸から分家して新たに一戸を構えた者らであり、分家によって当然に本件山林に係る入会権を取得したと主張した。しかし、分家による権利取得を認める慣習の存在を裏付ける証拠は提出されていなかった。
事件番号: 昭和34(オ)112 / 裁判年月日: 昭和35年12月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】入会権の内容および制限の有無は、当該入会地の沿革、地形、地勢、および長年の慣行に基づき、各事案における証拠関係を総合して個別的に判断されるべきである。 第1 事案の概要:上告人ら(部落)は、本件係争地が自村の所有する山であり、永年にわたり入会ってきた歴史があることから、その入会権の内容には制限がな…
あてはめ
部落の構成員資格は慣習に依拠するため、分家が当然に権利継承を伴うか否かも慣習の有無に依存する。本件において、原審は35戸の戸主に入会権がある事実は認めたものの、その各戸から分家した者が当然に構成員となる慣習の存在を認めるに足りる証拠はないと判断した。上告人らは権利取得の原因たる慣習を立証できていない以上、入会権の取得は認められない。
結論
上告人らが入会権を取得したとする主張は排斥される。分家が当然に入会権を取得する旨の慣習が立証されない限り、分家者は構成員とは認められない。
実務上の射程
入会権の帰属および構成員資格の変動(分家、転入等)について、慣習の立証責任が主張者側にあることを明確にした。答案上では、入会権の性質が「慣習」に基づくことを前提に、具体的要件としての構成員資格を論ずる際の論拠として使用する。現代においても入会団体の構成員確認訴訟等で参照される基本的判例である。
事件番号: 昭和35(オ)279 / 裁判年月日: 昭和37年3月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】入会権(民法263条、294条)の存否は、土地台帳や登記の記載のみならず、慣習としての入会の事実や公租公課の負担状況等の諸般の事情を総合して判断される。 第1 事案の概要:上告人らは、本件原野について自然発生的・史的発展を背景とした入会権を主張した。これに対し、本件原野は土地台帳上D寺の所有となっ…
事件番号: 昭和34(オ)650 / 裁判年月日: 昭和41年11月25日 / 結論: その他
入会権確認の訴は、入会権が共有の性質を有するかどうかを問わず、入会権者全員で提起することを要する固有必要的共同訴訟である。
事件番号: 平成18(受)336 / 裁判年月日: 平成20年4月14日 / 結論: 棄却
共有の性質を有する入会権に関する各地方の慣習の効力は,入会権の処分についても及び,入会集団の構成員全員の同意を要件としないで同処分を認める慣習であっても,公序良俗に反するなどその効力を否定すべき特段の事情が認められない限り,有効である。