判旨
農地の売買において、法令(農地調整法4条)により都道府県知事の許可が必要とされる場合、その許可を得ずになされた売買契約は無効であるため、裁判所が当該土地の所有権取得を認めるには、許可の有無を審理判断しなければならない。
問題の所在(論点)
農地法上の許可を要する農地の売買において、裁判所が許可の有無を審理せずに当該売買に基づく所有権移転の効力を認めることは許されるか。
規範
農地の売買については、都道府県知事の許可を受けることを必要とする旨の定め(旧農地調整法4条、現行農地法3条参照)がある場合、当該許可は効力要件である。したがって、知事の許可なくしてなされた農地の売買は、私法上無効であり、所有権移転の効力は生じない。
重要事実
被上告人(原告)は、昭和26年に訴外会社から本件土地を買い受けた。本件土地は、売買当時、現況が農地であった。しかし、原審(高松高裁)は、当該農地売買について当時施行されていた農地調整法4条に基づく都道府県知事の許可があったか否かを審理することなく、漫然と売買の効力を認め、被上告人が所有権を取得したと判定した。これを不服とした上告人が、審理不尽等を理由に上告した。
あてはめ
本件土地は売買当時において「現況農地」であったことが確定している。当時の農地調整法4条(現行農地法3条に相当)によれば、農地の売買には都道府県知事の許可が必要であり、この許可は契約の有効性を左右する強制規定である。しかるに、原審は被上告人が所有権を取得したと判断しながら、その前提となる「知事の許可を得たかどうか」という法律上の有効要件について何ら審理判断を行っていない。これは関係法令の解釈を誤ったか、あるいは判決に影響を及ぼす重要な事項についての審理不尽があるといわざるを得ない。
結論
原判決には法令解釈の誤り又は審理不尽の違法があるため、原判決を破棄し、許可の有無についてさらに審理させるため本件を高松高等裁判所に差し戻す。
事件番号: 昭和33(オ)379 / 裁判年月日: 昭和34年12月10日 / 結論: 棄却
農地の小作権譲渡契約につき臨時農地等管理令第七条ノ二所定の地方長官の許可を受けていなくても、右契約は当然無効ではない。
実務上の射程
農地法3条等の許可を要する取引の効力が争点となる場合、裁判所は職権探知主義ではないものの、権利自体の発生要件として許可の存在を認定しなければならないことを示す。答案上は、農地の譲渡を原因とする所有権移転登記請求等において、許可(または許可を条件とする判決)の必要性を論じる際の基礎となる。
事件番号: 昭和40(オ)1300 / 裁判年月日: 昭和41年9月8日 / 結論: 破棄差戻
(省略)
事件番号: 昭和26(オ)913 / 裁判年月日: 昭和28年5月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事上告において、原審の証拠取捨選択や事実認定を非難する主張は、特例法上の重要な法令解釈の主張には該当せず、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人は、原審における証拠の取捨選択および事実認定について不服を申し立て、上告した。具体的には、証人D、E、Fの証言として、当日現金を持参した旨の…