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停止条件付売買の条件成就を確定しないで右売買の効力発生を認めた違法があるとされた事例
判旨
農地の売買において、行政庁の許可を契約の効力発生の条件とした場合、その条件は法定条件ではなく民法上の停止条件にあたる。したがって、当該条件の成就又はこれと同一の効果を生じさせる事実が認められない限り、所有権移転の効力は生じない。
問題の所在(論点)
当事者が農地売買において「行政庁の許可」を効力発生の条件とした場合、その法的性質はどのように解されるか。また、条件の成就が認められない状況で所有権移転の効力は認められるか。
規範
契約において行政庁の許可を効力発生の条件とした場合、その許可が法令上契約の有効要件(法定条件)とされていない限り、当該条件は私法上の停止条件(民法127条1項)と解される。この場合、条件が成就するか、又は信義則上これと同一の効果を生ぜしめる要件に該当する事実が認められない限り、契約の効力は発生しない。
重要事実
上告人は、昭和21年1月頃、農地であった本件土地を被上告人の父Dに売り渡す契約を締結した。当時、農地の移動は臨時農地等管理令により統制されていたが、同令は許可を所有権移転契約の有効要件とはしていなかった。当事者は本件売買契約において、行政庁の許可を効力発生の条件としていたが、原審は許可の有無等を確認しないまま、上告人の所有権主張を排斥した。
あてはめ
臨時農地等管理令7条の2所定の許可は、農地の所有権移転を目的とする契約自体の有効要件ではない。そのため、本件契約に付された許可の条件は、私法上の意思表示に基づく停止条件にあたる。本件において、条件成就やそれと同視できる事実が認定されない限り、民法127条1項により売買契約の効力は生じず、本件土地の所有権は依然として売主である上告人に帰属する。原審がこれらの事実を確定せずに判断したことは、理由不備の違法がある。
結論
許可という停止条件が成就した事実が認められない限り、売買契約に基づく所有権移転の効力は生じない。原判決を破棄し、差し戻す。
実務上の射程
当事者の合意による条件と法定条件の区別を明確にした。法令が許可を効力発生要件としていない場合でも、当事者が任意に許可を停止条件とすることができ、その場合は条件成就の立証が所有権移転を主張する側の要件となることを示している。
事件番号: 昭和33(オ)379 / 裁判年月日: 昭和34年12月10日 / 結論: 棄却
農地の小作権譲渡契約につき臨時農地等管理令第七条ノ二所定の地方長官の許可を受けていなくても、右契約は当然無効ではない。
事件番号: 昭和33(オ)243 / 裁判年月日: 昭和35年4月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民法130条に基づき、条件の成就を妨げた相手方に対して条件が成就したものとみなす主張をするためには、同条の規定に基づく権利行使としての明確な意思表示が必要である。 第1 事案の概要:店舗賃貸借契約の合意解約について、特定の事象が発生することを停止条件とする合意がなされた。賃借人である上告人は、賃貸…
事件番号: 昭和39(オ)930 / 裁判年月日: 昭和41年5月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政庁の認可が契約の効力発生要件とされている場合において、当事者が認可の取得または認可不要となることを条件として契約を締結したと解されるときは、当該条件の成就(認可不要の告示等)により契約は当然に有効となる。このような解釈は、強行法規の潜脱を目的とするものでない限り、合理的な当事者の意思解釈として…
事件番号: 昭和32(オ)923 / 裁判年月日: 昭和36年5月26日 / 結論: 棄却
一 知事の許可を得ることを条件として農地の売買契約をしたとしても、いわゆる停止条件を附したものということはできない。 二 農地の売主が故意に知事の許可を得ることを妨げたとしても、買主は条件を成就したものとみなすことはできない。