判旨
売買契約の解除を原因とする建物明渡請求訴訟の取下げ後に、新たな解除事由(調停条項の不履行)に基づいて提起された同目的の訴訟は、前訴と請求原因を異にするため、重複起訴や再訴禁止の抵触等の問題は生じない。
問題の所在(論点)
先行する訴えの取下げ後に、同一の目的物について提起された後訴が、前訴と同一の請求(訴訟物)にあたるか。具体的には、異なる解除事由に基づく解除権の行使が、独立した請求原因を構成するかが問題となる。
規範
訴訟上の請求の内容(訴訟物)は、その原因となる法的根拠や事実関係によって特定される。一度提起された訴えが取下げられた後に再度同一の目的で訴えを提起する場合であっても、その解除権発生の基礎となる事実(解除事由)が異なる場合には、前訴と後訴は請求原因を異にする別個の請求であると判断される。
重要事実
被上告人(売主)は上告人(買主)に対し、昭和25年10月12日の売買契約解除を理由として建物明渡請求訴訟を提起した。その後、同訴訟の係属中に代金支払等に関する調停が成立し、被上告人は訴えを取り下げた。しかし、上告人が当該調停条項に違反したため、被上告人は昭和26年8月21日に改めて契約を解除し、再度建物明渡を求めて本訴を提起した。
あてはめ
前訴は「昭和25年10月12日の解除」を原因とするものであったのに対し、本訴は「代金支払に関する調停条項の違背」を理由とする「昭和26年8月21日の解除」を原因としている。判決文によれば、これらは解除に至るまでの経緯および解除の法的根拠となる具体的な事実が明確に分かれている。したがって、両者は請求原因を異にすると評価される。
結論
本件訴訟は前訴とは請求原因を異にする別個の訴えであり、適法である。
実務上の射程
契約解除に基づく明渡請求において、解除事由(時点や発生原因)が異なれば、訴訟物たる解除権行使の結果が同一でも、請求原因レベルで区別されることを示した。民事訴訟法における再訴禁止(262条2項)の適用の有無や、既判力の客観的範囲を検討する際の参考となる。
事件番号: 昭和26(オ)819 / 裁判年月日: 昭和28年9月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】暴利行為として契約を公序良俗違反(民法90条)により無効とするためには、原審において適法に認定された事実に基づき、その契約が社会通念上許容される範囲を超えた不当な利益を得るものであることが認められなければならない。 第1 事案の概要:上告人は、本件契約が暴利行為に該当し無効であると主張して上告した…