判旨
遅延利息の約定が民法90条の公序良俗に反するか否かは、当該約定に至った経緯その他一切の事実関係を総合して判断すべきである。本件では、債務者の窮迫に乗じた等の事情が認められない限り、直ちに公序良俗違反とはならない。
問題の所在(論点)
金銭消費貸借契約等における遅延利息の約定が、民法90条(公序良俗)または旧利息制限法5条に照らして無効となるか。
規範
遅延利息の約定が民法90条の公序良俗に違反するか、あるいは旧利息制限法5条の「不当な場合」に該当するかは、単に利率の多寡のみならず、当該約定に至った具体的な経緯、当事者の事情、その他諸般の事実関係を総合的に考慮して判断する。
重要事実
上告人は、相手方との間で遅延利息の約定を締結したが、後にこれが上告人の窮迫に乗じて約束させられたものであるとして、公序良俗違反等を主張した。しかし、原審(控訴審)においては「窮迫に乗じた」という事実は主張されておらず、認定もされていなかった。判決文からは遅延利息の具体的な利率や元本の額などの詳細は不明である。
あてはめ
上告人が主張する「窮迫に乗じて約束させられた」という事実は、原審において主張・認定されていない。原判決が認定した一切の事実関係、すなわち約定に至った経緯等に照らしても、当該遅延利息の約定が社会妥当性を欠くほどに不当であるとは認められない。したがって、公序良俗に反すると評価するに足りる具体的な事情は存在しないといえる。
結論
本件の遅延利息の約定は、民法90条および旧利息制限法5条に照らし、公序良俗に反するものとは認められず、有効である。
実務上の射程
契約自由の原則に基づき、高利の遅延損害金であっても直ちに無効とはならない。公序良俗違反を主張する側が、暴利行為性を基礎づける具体的な事実(債務者の窮迫・軽率・無経験、債権者の不当な利得目的等)を立証する必要があることを示唆している。
事件番号: 昭和28(オ)125 / 裁判年月日: 昭和30年7月5日 / 結論: 棄却
消費賃借の借主が、貸主主張の金額につき消費賃借の成立したことを認める旨陳述したとしても、一方において、賃借の成立に際し天引の行われたことを主張しているときは、該陳述を自白と認めることはできない。