判旨
上告理由が具体性を欠き、事実誤認や採証法則違背等の主張に留まる場合は、民事上告の適法な理由として認められず、上告は棄却される。
問題の所在(論点)
具体的な内容を欠く事実誤認や採証法則違背等の主張が、民事上告における適法な上告理由、または「法令の解釈に関する重要な主張」に該当するか。
規範
上告適法の理由として認められるためには、具体的かつ適式な上告理由の提示が必要であり、単なる事実誤認、擬律の誤謬、実験則・採証法則への違背のみを具体性を欠いた形で主張しても、法令の解釈に関する重要な主張を含むものとは認められない。
重要事実
上告人が、原判決には事実誤認、擬律の誤謬、実験則および採証法則への違背があり不当であると主張して上告を申し立てた事案。ただし、それらについて具体的な内容の提示を欠いていた。
あてはめ
上告人は、原判決の不当性を主張するものの、具体的にどのような点が誤っているかを示す上告理由を示していない。そのため、民事上告の審判の特例における「法令の解釈に関する重要な主張」等の各号の要件を充足せず、上告の適法性を欠くものと評価される。
結論
本件上告は、適法な上告理由を欠くため、棄却される。
実務上の射程
民事訴訟における上告理由の具体的提示義務を裏付ける事例である。答案上は、理由の不備による形式的な却下・棄却の根拠として参照し得るが、本判決自体は特例法に基づく極めて簡潔な判断であるため、実体的な規範定立としての射程は狭い。
事件番号: 昭和28(オ)184 / 裁判年月日: 昭和29年5月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律に基づき、上告理由が事実誤認や単なる訴訟法違反に留まり、法令の解釈に関する重要な主張を含まない場合は、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人が提起した上告において、その論旨の内容が事実誤認または単なる訴訟法違反を主張するものであった…
事件番号: 昭和26(オ)620 / 裁判年月日: 昭和27年11月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、上告理由が実質的に事実誤認の主張にすぎず、憲法違反や法令違反の適法な上告理由に当たらないとして棄却された事例である。 第1 事案の概要:上告人は、原判決に憲法違反および法令違反があるとして上告を申し立てた。しかし、その主張の具体的内容は、原審の認定した事実関係を争う事実に主眼が置かれていた…