判旨
不動産の賃貸借契約において、賃貸人が契約の承継を承認した場合には、登記の欠缺にかかわらず当該賃貸借の承継の効力は認められる。
問題の所在(論点)
賃貸借契約の承継に際し、賃貸人がその承継を承認している場合、登記の欠缺は承継の効力に影響を及ぼすか。特に、当事者間での承継の成否が問題となる。
規範
賃貸借契約の承継について、契約の相手方である当事者がその事実を承認した場合には、特段の登記等の対抗要件を備えていなくとも、当事者間においては当該承継の効力が生じる。
重要事実
上告人A(賃貸人)と被上告人(賃借人側)との間において、賃貸借契約の承継が問題となった。原審の認定によれば、上告人Aは昭和23年5月2日当時、すでに本件賃貸借が被上告人に承継された事実を承認していた。しかし、上告人側は当該承継に伴う登記の欠缺を理由に、承継の有効性を争い上告した。
あてはめ
本件において、賃貸人である上告人Aは、被上告人への賃貸借の承継を明示的に承認している。このように当事者間で承継の事実が確認されている以上、権利関係の公示を目的とする登記の有無は、当該賃貸借が被上告人と上告人Aとの間に存続することを妨げるものではない。したがって、登記が欠けていることをもって承継を否定することはできないと解される。
結論
本件賃貸借の承継は有効であり、登記の欠缺は承継の有無に関係しない。上告棄却。
実務上の射程
本判決は、賃貸借の承継という契約上の地位の移転について、当事者間の承諾(承認)があれば対抗要件(登記)の有無にかかわらず、その当事者間での効力を認めるものである。司法試験においては、対抗問題(民法177条等)と契約上の地位の譲渡における承諾の関係を整理する際、当事者間では登記不要とする法理の具体例として活用できる。
事件番号: 昭和33(オ)868 / 裁判年月日: 昭和36年6月27日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】不動産の買戻権は契約解除権の性質を有し、その譲渡は売主の地位と共になされるべきものである。買戻しの特約を登記していない場合、その譲渡を買主に等しい対抗要件としては、民法467条の債権譲渡の規定に従い、通知または承諾をもって足りる。 第1 事案の概要:不動産の売買において買戻しの特約がなされたが、そ…