判旨
不動産の買戻権は契約解除権の性質を有し、その譲渡は売主の地位と共になされるべきものである。買戻しの特約を登記していない場合、その譲渡を買主に等しい対抗要件としては、民法467条の債権譲渡の規定に従い、通知または承諾をもって足りる。
問題の所在(論点)
買戻しの特約が登記されていない不動産買戻権を譲渡した場合、買主に対する対抗要件として不動産登記(不動産登記法、民法177条)が必要か、それとも債権譲渡の通知・承諾(民法467条)で足りるか。
規範
不動産の買戻権は契約解除権の性質を有する。買戻しの特約を登記しなかった場合における買戻権の譲渡は、売主の地位とともにのみなされる。また、当該譲渡の買主に対する対抗要件は、民法129条(現466条等)および467条の債権譲渡の規定に従い、通知または承諾を要し、かつこれをもって足りる。
重要事実
不動産の売買において買戻しの特約がなされたが、その特約について登記はなされていなかった。その後、売主(買戻権者)がその買戻権を第三者に譲渡したが、この譲渡について対抗要件を巡る争いが生じた。原審は、買戻権の移転はすべて物権の移転として登記を要し、債権譲渡の規定による通知では対抗できないと判断したため、上告された。
あてはめ
買戻権の本質は形成権たる契約解除権である。物権そのものの譲渡ではないため、民法177条の登記が絶対的に要求されるわけではない。登記がなされていない以上、特約は当事者間の債権的な関係にとどまる。したがって、その権利の譲渡は債権譲渡の規定に準じて扱われるべきであり、債務者である買主への通知または承諾があれば、権利移転を対抗できると解される。
結論
買戻権の譲渡を買主に対抗するには、民法467条に従い、通知または承諾があれば足りる(登記は不要である)。
実務上の射程
特約の登記がある場合は民法581条により第三者にも対抗できるが、登記がない場合は債権的な性質が前面に出る。答案上は、買戻権の法的性質(解除権説)を前提に、公示(登記)がない場合の承継を債権譲渡の枠組みで処理する際の根拠として活用する。
事件番号: 昭和28(オ)126 / 裁判年月日: 昭和29年10月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産の賃貸借契約において、賃貸人が契約の承継を承認した場合には、登記の欠缺にかかわらず当該賃貸借の承継の効力は認められる。 第1 事案の概要:上告人A(賃貸人)と被上告人(賃借人側)との間において、賃貸借契約の承継が問題となった。原審の認定によれば、上告人Aは昭和23年5月2日当時、すでに本件賃…