判旨
最高裁判所は、記録上唯一の証拠とは認められない証拠申請の却下等、単なる訴訟法違反の主張は、民事上告事件の審判の特例に関する法律所定の上告理由に該当しないと判示しました。
問題の所在(論点)
記録上唯一とは認められない証拠申請の却下等の訴訟法違反の主張が、民事上告審における適法な上告理由(特例法1号乃至3号、または法令解釈に関する重要な主張)に該当するか。
規範
「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」1号から3号、または「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものに該当しない単なる訴訟法違反の主張は、適法な上告理由とはならない。
重要事実
上告人が、原審における証拠申請の取り扱い等について訴訟法違反を主張して上告を提起した事案。なお、当該証拠申請は記録上唯一のものとは認められないものであった。
あてはめ
上告人が主張する証拠申請の不採用等の訴訟法違反は、記録上当該証拠が唯一のものと認められない以上、裁判の結果に影響を及ぼすべき重大な法令違反とはいえず、特例法上の各号および重要な法令解釈のいずれにも該当しない。
結論
本件上告は、適法な上告理由を欠くため棄却される。
実務上の射程
上告審の受理・不受理の基準に関する形式的な判示であり、証拠採用の裁量(民事訴訟法181条)を争う際には、それが「唯一の証拠」でない限り、上告理由として構成することは極めて困難であることを示唆している。
事件番号: 昭和27(オ)590 / 裁判年月日: 昭和28年10月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事上告において、上告理由が単なる訴訟法違反や事実認定の非難にすぎず、法令の解釈に関する重要な事項を含まない場合は、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人が提起した本件上告において、その論旨は原審の判断に対する不服を申し立てるものであったが、その内容は単なる訴訟法違反の主張や事実認定に…