判旨
検察官が行った不起訴処分に対する取消訴訟は、現行法上認められず、裁判の対象とならない不適法な訴えである。
問題の所在(論点)
検察官による不起訴処分について、裁判所に対しその取消しを求める訴え(行政訴訟)を提起することが法的に許容されるか。
規範
検察官による不起訴処分は、行政権の行使としての性質を有するものの、その適否については検察審査会制度等の刑事訴訟法上の手続によるべきものであり、裁判所に対して民事訴訟ないし行政訴訟を提起してその取消しを求めることは認められない。
重要事実
原告は、警察官による業務横領再告発事件、医師らによる不法監禁告訴事件、及び名誉毀損告訴事件の各事件について、検察官がなした各不起訴処分は違憲であり、一方的な捜査に基づき基本的人権を侵害するものであると主張した。原告は、これら不起訴処分の取消しを求めて、最高裁判所に直接訴えを提起した。
あてはめ
わが国の法体系において、不起訴処分に対する不服申立の方法は、検察審査会への審査申立て(検察審査会法)等の特別の制度が用意されている。本件訴えにおいて原告が求める不起訴処分の取消しは、これら法定の手続によらないものであり、わが国の民事訴訟法・行政訴訟法上の訴えとして受理し得る性質のものではない。したがって、本件訴えは補正することのできない不適法なものといえる。
結論
本件訴えは不適法であるため、却下される。
実務上の射程
行政事件訴訟法上の「処分性」の有無が問題となる文脈、あるいは「裁判所法3条1項」にいう法律上の争訟性の有無において、刑事訴追に関する判断が司法審査の対象外とされる例として引用される。ただし、不当な不起訴処分により国家賠償法上の違法が認められる可能性は否定されていない点に留意が必要である。
事件番号: 昭和27(オ)533 / 裁判年月日: 昭和28年10月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政庁による「承認」が、国民の権利義務を直接的に形成し、またはその範囲を確定する効果を有しない場合には、行政事件訴訟法上の取消訴訟の対象となる行政処分には該当しない。 第1 事案の概要:上告人は、行政庁が行った特定の「承認」について、その違法を理由に取消訴訟を提起した。しかし、当該承認行為が国民の…
事件番号: 昭和25(オ)131 / 裁判年月日: 昭和27年12月24日 / 結論: 棄却
一 憲法第三二条は、被害者訴追主義または一般訴追主義を保障した規定ではない。 二 検察官のした不起訴処分に対する民事訴訟ないし行政訴訟の提起は、わが国法上許されない。