判旨
原審において主張立証されなかった慣習または地方慣習法の存在を、上告理由とすることはできない。
問題の所在(論点)
事実審である原審において主張・立証されなかった慣習または地方慣習法の存在を、上告審において新たな攻撃防御方法として主張し、上告理由とすることができるか。
規範
上告審において主張できる理由は、法令の解釈に関する重要な事項等に限定される。特に、慣習や地方慣習法のように事実認定を伴うべき事項については、原審(事実審)において主張立証がなされていない限り、上告審で新たにこれを理由にすることはできない。
重要事実
上告人は、原審(控訴審)までの段階では主張および立証をしていなかった慣習または地方慣習法の存在を、最高裁判所への上告理由として初めて主張した。
あてはめ
本件において上告人が主張する慣習等は、原審において全く主張立証がなされていない。上告審は事後審であり、事実認定に直結する慣習の有無を初めて審理することは、「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」等の趣旨に照らし、許されないものと解される。
結論
上告人の主張は不適法な上告理由であり、本件上告は棄却される。
実務上の射程
事実審における主張立証の重要性を示す。慣習法といえども、その存在が顕著でない限りは事実と同様に当事者の主張立証を要することを前提とし、上告審での新主張を遮断する射程を持つ。
事件番号: 昭和27(オ)901 / 裁判年月日: 昭和29年5月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事上告事件において、上告理由が判例違反に当たらず、単なる事実誤認や訴訟法違背の主張にとどまる場合は、上告棄却の対象となる。特例法に基づく重要な法令解釈の主張も含まれない場合には、上告を維持することはできない。 第1 事案の概要:上告人は、原審の判断に対し、判例違反および訴訟法違背、事実誤認を理由…
事件番号: 昭和27(オ)230 / 裁判年月日: 昭和28年11月20日 / 結論: 棄却
裁判所が、被告に損害賠償義務のあることを認めながら、損害額の立証がないという理由で損害賠償請求を排斥しても、釈明権不行使または審理不尽の違法があるとはいえない。
事件番号: 昭和27(オ)334 / 裁判年月日: 昭和27年11月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事上告事件において、上告の理由が審判の特例に関する法律の各号に該当せず、かつ法令の解釈に関する重要な主張を含まない場合は、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人が、原判決に対して最高裁判所に上告を提起した事案。判決文からは具体的な紛争内容や請求の詳細は不明であるが、最高裁判所が上告理…