判旨
新民法施行後の離縁請求において、施行前の事情を「縁組を継続し難い重大な事由」の存否を判断するための「事情」として参酌することは許容される。
問題の所在(論点)
新民法施行後に提起された離縁の訴えにおいて、施行前の事実を「縁組を継続し難い重大な事由」の認定に用いることは、法の遡及適用の禁止等の観点から許されるか。
規範
新民法施行後の離縁請求に関し、民法814条1項3号の「縁組を継続し難い重大な事由」の有無を判断するに際しては、新民法施行前における当事者の所遇及び態度等の事実についても、当該事由の存否を決定するための間接的な事情として認定・参酌することができる。
重要事実
被上告人が上告人等に対し、民法814条1項3号(縁組を継続し難い重大な事由)を理由とする離縁を求め、昭和25年8月9日に提訴した。原審は、新民法施行前における上告人等の被上告人に対する冷遇や不当な態度等の事実を認定した上で、当該事由があるものとして離縁請求を容認した。これに対し上告人等は、新民法施行前の事実を基礎とすることは新民法附則の規定に反すると主張して上告した。
あてはめ
本件訴訟は、新民法施行後に提起されたものであり、その請求根拠は同法814条1項3号に求められている。原判決が認定した施行前の事実は、直ちに離縁原因そのものを構成するのではなく、施行時において同号所定の「重大な事由」があるか否かを判断するための背景事情として認定されたものに過ぎない。したがって、施行前の所遇等を考慮することは、新民法の遡及適用を禁じた附則等の規定に抵触するものではないといえる。
結論
新民法施行前の事情を参酌して「縁組を継続し難い重大な事由」を認めた原判決は適法であり、上告を棄却する。
実務上の射程
新法(現行法)適用後の離婚や離縁の事案において、法改正前の事実であっても、現在の破綻状態を基礎付ける背景事情として主張・立証に用いることができるという実務上の指針を示すものである。
事件番号: 昭和34(オ)59 / 裁判年月日: 昭和36年4月7日 / 結論: 棄却
一民法第八一四条第一項第三号にいわゆる「縁組を継続し難い重大な事由」は、当事者双方又は一方の有責事由に限られない。 二原審認定に係る事実関係(原判決理由参照)の下においては、民法第八一四条第一項第三号にいわゆる「縁組を継続し難い重大な事由」があると認めるのを相当とする。 三 民訴法第三五条第六号にいわゆる「不服ヲ申立テ…