判旨
養親子の間に敬愛の念が喪失され、夫婦関係の維持等の事情から将来にわたって愛情の回復が困難であると認められる場合には、民法814条1項3号の「縁組を継続し難い重大な事由」に当たると解される。
問題の所在(論点)
養親の不適切な言動を契機として養子が敬愛の念を喪失し、自身の夫婦関係維持等のために交流を断絶している状況が、民法814条1項3号の「縁組を継続し難い重大な事由」に該当するか。
規範
「縁組を継続し難い重大な事由」(民法814条1項3号)とは、養親子間の合意に基づく身分関係を維持することが客観的に見て不可能な程度に、その信頼関係や敬愛の情が破綻している状態をいう。具体的には、当事者間の具体的なトラブルの経緯、敬愛の念の喪失の有無、及び将来における関係修復の可能性の有無を総合的に考慮して判断する。
重要事実
養親(被上告人)が夜中、養子(上告人)に足腰をさすらせた後、自室に戻ろうとする養子を留めて同衾させた。これを契機として、養子は養親を軽侮するようになり、近くに居住しながら養親の居室に赴かなくなった。養子には妻がおり、妻への疑念を解いて夫婦関係を維持するためにも養親を避ける必要があった。養親は第三者から生活費の支払を受けており、養子からの扶養を直接受けてはいなかったが、両者の間には親子らしい情が完全に欠けていた。
あてはめ
養親が養子に同衾を強いたという不適切な行為により、養子が養親に対し軽侮の念を抱き、敬愛の念を喪失したことは否定できない。また、養子が自身の妻との関係を維持しようとする以上、養親との交流を再開することは困難であり、妻を離別しない限り親子らしい愛情を回復し得ない状況にある。養親が他からの収入により生活を維持しており、扶養義務違反という形での破綻ではないにせよ、精神的な紐帯は完全に断絶している。したがって、将来にわたり親子関係を継続することを期待し得ない状態にあるといえる。
結論
本件縁組には、これを継続し難い重大な事由があるものと認められるため、離縁の請求は認められる。
実務上の射程
本判決は、経済的な扶養関係の存否にかかわらず、精神的な敬愛の念の喪失や、養子の現在の家庭(配偶者との関係)との両立不可能性を重視して破綻を認めた点に実務上の意義がある。答案では、単なる不仲を超えて「将来的な回復の可能性」が客観的に閉ざされていることを、具体的なエピソードに基づき論証する際に活用すべきである。
事件番号: 昭和40(オ)1317 / 裁判年月日: 昭和42年5月25日 / 結論: 棄却
特定の住居で布教または祭祀を行なわない旨の私人間の約束は、憲法第二〇条第一項に違反しない。