判旨
家庭菜園は、農地調整法(現:農地法)にいう「農地」には該当せず、また借地法(現:借地借家法)上の借地権の成立が否定される場合には、同法の更新等の規定は適用されない。
問題の所在(論点)
1. 家庭菜園として利用されている土地は、農地調整法にいう「農地」に該当するか。2. 借地権の成立が否定されている場合において、借地法第4条や第6条(更新・建物買取請求等)の規定を適用できるか。
規範
1. 農地調整法(現:農地法)上の「農地」とは、耕作の目的に供される土地を指すが、家庭菜園としての利用はこれに含まれない。2. 借地法(現:借地借家法)第4条および第6条の規定は、有効な借地権が成立していることが前提となり、借地権の成立自体が否定される場合には適用されない。
重要事実
上告人らは、対象となる土地について家庭菜園として利用していた。上告人らは、当該土地の利用について借地法上の保護(更新等)や、農地調整法上の制限(農地としての性質)を主張して争ったが、原審において借地権の成立自体が否定されていた。
あてはめ
1. 本件土地は家庭菜園として利用されているに過ぎず、農地調整法の適用を受ける「農地」とは認められない。2. 借地法4条・6条は、当事者間に有効な借地権が存在し、それが消滅した場合を想定した規定である。本件においては借地権の成立自体が否定されている以上、同法の規定を適用する余地はない。
結論
家庭菜園は農地調整法上の農地ではなく、また借地権の成立が認められない以上、借地法に基づく上告人らの主張は理由がない。
実務上の射程
農地法上の「農地」の定義(耕作目的の継続性や事業性)を解釈する際の消極的な境界線を示すものとして利用できる。また、借地借家法の各規定が「有効な借地権の存在」を前提とする当然の法理を確認する際にも引用可能である。
事件番号: 昭和37(オ)995 / 裁判年月日: 昭和39年2月25日 / 結論: 棄却
一 一時使用のための土地賃借人が七〇才をこえる老人であるからといつて、これに対し右賃貸借を解除して建物収去土地明渡を求めることは、原審確定の事実関係のもとで権利濫用とはいえない。 二 借地契約にあたつて賃借人が第三者の無断建築物を買い取り右居住者を立ち退かせる約定があり、賃借人において、これを買い取つたといういきさつが…
事件番号: 昭和35(オ)1057 / 裁判年月日: 昭和36年5月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賃借権の譲渡について賃貸人の承諾が得られない限り、民法612条に基づき、譲受人はその賃借権を賃貸人に対抗することができない。また、一時使用の賃貸借であることが確定された事案においては、借地法の適用を前提とする主張は認められない。 第1 事案の概要:上告人は、本件土地の賃借権を譲り受けたと主張して賃…
事件番号: 昭和37(オ)445 / 裁判年月日: 昭和41年4月22日 / 結論: 棄却
借地権者が従前土地上に登記ある建物を所有している場合でも、借地権の申告に基づいて施行者が仮換地上に使用収益部分の指定をしなければ、仮換地上に使用収益権は生じない。
事件番号: 昭和25(オ)293 / 裁判年月日: 昭和28年12月24日 / 結論: 棄却
借地法にいわゆる建物とは、一般通念に従つてその意義を定むべきで、家屋台帳等公の帳簿に記載され課税の対象となつているものだけに限るものと解すべきではない。
事件番号: 昭和31(オ)755 / 裁判年月日: 昭和32年6月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】権利濫用の抗弁は、その前提となる権利(賃借権等)の取得が認められない場合には、判断の対象とならない。また、控訴審で主張していない事実を前提とした判断遺脱の主張は、上告理由として認められない。 第1 事案の概要:上告人は、本件土地について賃借権を取得したと主張し、その上で権利濫用の抗弁を提出した。し…