判旨
控訴審において第一審における口頭弁論の結果が陳述された場合、第一審で提出された証拠はすべて控訴審に顕出されたものとみなされ、当然に事実認定の資料とすることができる。
問題の所在(論点)
控訴審において「第一審における口頭弁論の結果」を陳述した場合、第一審で提出された証拠は、改めて個別の証拠調べの手続きを経ることなく、当然に控訴審の事実認定の資料とすることができるか。いわゆる続審制下における第一審証拠の顕出の範囲が問題となる。
規範
旧民事訴訟法377条2項(現行296条2項参照)にいう「第一審における口頭弁論の結果」とは、第一審に現れた一切の訴訟資料を指し、証拠調べの結果もこれに含まれる。控訴審でこれが陳述されれば、第一審提出の全証拠は控訴審に顕出されたものとなり、裁判所は当然にこれを事実認定の資料とし得る。
重要事実
第一審において書証が提出され、証拠調べが行われた。控訴審の口頭弁論において、当事者は「原判決事実摘示のとおり原審口頭弁論の結果を陳述」した。原審(控訴審)は、第一審で提出された当該書証を証拠として採用し、事実認定を行った。これに対し、上告人は控訴審が第一審の証拠を直接取り調べずに資料とした点は違法であると主張した。
あてはめ
本件では、控訴審の口頭弁論調書に「原審口頭弁論の結果を陳述し」との記載があり、特段の除外の意思表示も認められない。この陳述により、第一審の訴訟資料および証拠調べの結果はすべて控訴審に現れたものと解される。したがって、原審が第一審の書証をそのまま事実認定の基礎とした判断プロセスには、証拠法則上の違法は認められない。
結論
控訴審において第一審の口頭弁論の結果が陳述されれば、第一審の証拠は当然に判決の基礎とすることができ、原審の判断に違法はない。
実務上の射程
控訴審の続審的性格を象徴する判例であり、第一審の証拠資料が当然に控訴審に引き継がれる実務上の根拠となる。答案上は、控訴審における事実認定の資料の範囲が問題となる場面で、現行法296条2項の解釈として本判例の理屈を援用すべきである。
事件番号: 昭和33(オ)991 / 裁判年月日: 昭和36年1月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審判決で摘示された事実が控訴審において双方代理人により陳述されている場合、当該事実に基づき判断を行うことは適法である。事実認定は原審の専権に属し、上告審での新たな事実主張に基づく非難は認められない。 第1 事案の概要:上告人は、被上告人との間の契約成立の認定に誤りがあると主張し、また、第一審で…