判旨
小作調停により成立した農地賃貸借の合意解除は、その成立に至った事情に照らして適法かつ正当と認められる限り、有効である。
問題の所在(論点)
小作調停における合意に基づいてなされた農地賃貸借の解除が、適法かつ正当なものとして有効に成立するか。
規範
農地の賃貸借の解除について、当事者間の合意による解除(合意解除)がなされた場合、その解除の効力は、解除が行われるに至った具体的な諸事情を総合的に考慮し、それが適法かつ正当なものと認められるか否かによって判断される。
重要事実
本件係争田地に関する賃貸借について、当事者間で小作調停が行われた。その結果、当該調停において賃貸借を合意解除する旨の合意が成立した。上告人は、当該合意解除が適法かつ正当ではないとして、その効力を争い上告した。
あてはめ
原判決の認定によれば、本件賃貸借の解除は判示の小作調停により合意されたものである。また、その解除に至るまでの経緯や事情を精査すると、当該合意解除を「適法かつ正当でない」と解すべき特段の事情は認められない。したがって、本件解除は法的に有効な手続を経て行われたものと評価される。
結論
本件賃貸借の合意解除は適法かつ正当であり、有効である。
実務上の射程
農地法等の特別法上の制限がある場合でも、調停という公的手続を経た合意解除については、その成立過程に不当な点がなければ原則として有効と解される。答案上は、解除の有効性を争う場面で、合意の任意性や正当性を基礎付ける事実として「調停の成立」を指摘する際に有用である。
事件番号: 昭和25(オ)25 / 裁判年月日: 昭和28年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地の合意解約が一応適法に成立した場合であっても、その内容が正当なものとは認められない限り、当該合意解約を理由に農地の買収計画を排除することはできない。農地の集中を生じない場合であっても、適法な合意解約の存在のみによって遡及的な買収計画の策定が制限されるものではない。 第1 事案の概要:上告人と小…
事件番号: 昭和36(オ)947 / 裁判年月日: 昭和38年3月15日 / 結論: 棄却
被買収者が農地所在の村で農地委員の選挙権を行使した等の事実があつても、右買収基準時に教師として他村に転任しその学校住宅に家族とともに居住していたという事実関係のもとにおいては、その住所が当該農地の所在地にあつたと認めなければならないものではない。
事件番号: 昭和26(オ)660 / 裁判年月日: 昭和28年3月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政手続上の違法があったとしても、当事者が実質的に争う機会を得るなどして不利益を受けていない場合には、当該違法は処分の取消事由や無効原因とはならない。 第1 事案の概要:自作農創設特別措置法に基づく農地買収計画が策定された際、その公告に係る縦覧期間に違法があった。しかし、原告(土地所有者)は当該縦…
事件番号: 昭和26(オ)903 / 裁判年月日: 昭和28年6月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法15条1項2号に基づく宅地の附帯買収が認められるためには、当該宅地が売渡農地の経営に必要であることが必要である。この「必要」性の判断においては、全農地の経営における売渡農地の重要度や法の目的に照らし、耕作農家の地位安定に適合するか否かを基準とすべきである。 第1 事案の概要:農…
事件番号: 昭和27(オ)846 / 裁判年月日: 昭和29年4月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】買収計画が協定を理由として取り消された場合であっても、当該協定の不履行があったときは、再度同一の対象に対して買収計画を立てることは違法ではない。 第1 事案の概要:農地の買収計画に関し、当事者間での協定(合意)が成立したことを理由として、一度は買収計画が取り消された。しかし、その後当該協定が履行さ…