判旨
請求の標目に「詐取金請求」とあっても、請求の趣旨や添付書類等から貸金債務の弁済を求める趣旨であると解されれば、裁判所が貸金と判断することは適法である。
問題の所在(論点)
申立書の標目と実質的な請求内容が一致しない場合において、裁判所が実質的な請求内容(貸金)に基づいて判断を下すことは、処分権主義や当事者の合理的意思解釈の観点から許容されるか。
規範
訴状や支払命令申立書等の書面に記載された請求の性質は、単に標題等の形式的な記載にとどまらず、請求の趣旨、添付された証拠(誓約書等)、および口頭弁論における当事者の主張等を総合的に考慮して合理的に判断されるべきである。
重要事実
被上告人が上告人に対し、30万円の支払いを求めて支払命令を申し立てた。当該申立書の標目には「詐取金請求」との記載があったが、請求の趣旨の具体的記載や、添付された誓約書の写し、さらには第一審の口頭弁論における準備書面の陳述内容は、いずれも貸金の弁済契約に基づく請求であることを示すものであった。原審はこれを貸金請求と判断したが、上告人はこれを違法であるとして上告した。
あてはめ
本件申立書の標目に「詐取金請求」とあるものの、請求の趣旨の記載内容は結局のところ貸金の弁済契約に基づく請求であると認められる。また、証拠として添付された誓約書の記載や、その後の口頭弁論で陳述された準備書面の記載によっても、請求の本質が貸金の返還にあることは明らかである。したがって、形式的な標目のみに拘泥せず、実質的な請求の内容を貸金と認定した原審の判断に違法はない。
結論
請求の性質を貸金と判断した原判決は相当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
訴訟物の特定において、形式的な名称と実質的な主張が乖離している場合、裁判所は当事者の真意を合理的に解釈して訴訟物を確定できるという実務上の運用を肯定する事例である。答案上は、訴訟物の特定や釈明権の行使、処分権主義の限界を論ずる際の補強として利用できる。
事件番号: 昭和35(オ)1006 / 裁判年月日: 昭和37年11月30日 / 結論: 棄却
請求書は、一般に請求したいという事実については強い証明力をもつと認められるが、そこに記載されている売買、賃貸借の存否については通常強い証明力をもつとは認められない。
事件番号: 昭和30(あ)2372 / 裁判年月日: 昭和30年11月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項が保障する「公平な裁判所」とは、偏頗の恐れがなく中立公正な裁判所を指し、量刑不当や審理不尽の主張は当然には上告理由としての憲法違反を構成しない。 第1 事案の概要:被告人が、量刑不当および審理不尽を理由として上告を申し立てた事案。弁護人は、これらの事由が刑訴法405条の上告理由に該当…