判旨
事情変更を理由とする契約解除が認められるためには、契約後の事情の変更により、当初の契約を維持することが信義衡平の原則に著しく背くといえる特段の事情が必要である。
問題の所在(論点)
契約締結後の客観的事情の変化を理由として、信義則(民法1条2項)に基づき契約の解除が認められるための要件。
規範
契約締結後の事情変更を理由に解除権を認めるためには、単なる事情の変化では足りず、その変更により当初の契約内容を強制することが「信義衡平の原則に背く」という程度の重大な事態に至っていることを要する。
重要事実
上告人と相手方との間で本件契約が締結された。その後、契約の前提となる状況に変化が生じたとして、上告人は事情変更の原則に基づく契約解除を主張した。具体的な事実関係の詳細は判決文からは不明であるが、原審は事情変更による解除を否定する事実認定を行っていた。
あてはめ
本件における事実関係を検討するに、原判決が認定した事実に基づけば、本件契約について直ちに上告人の解除権を容認しなければ信義衡平の原則に背くというほどの事情の変更があったとは認められない。したがって、契約解除を認めるための厳格な要件を満たさないと解される。
結論
本件において事情変更を理由とする解除権の行使は否定され、上告人の請求は棄却されるべきである。
実務上の射程
司法試験において「事情変更の原則」を論じる際のリーディングケース。4要件(事情の劇的変化、予見不能性、帰責事由の不存在、契約維持の著しい不当性)を具体化する際の最上位規範として「信義衡平の原則」を用いる。答案上は、本判旨のフレーズを引用しつつ、あてはめで個別具体的な事実(経済情勢の激変等)を拾うのが定石である。
事件番号: 昭和26(オ)813 / 裁判年月日: 昭和29年1月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事情変更の原則が適用されるためには、契約成立当初の法律上の効果をそのまま発生・維持させることが著しく信義衡平に反する場合であることを要する。 第1 事案の概要:上告人は、契約成立後の事情変更(詳細は判決文からは不明)により、当初の契約の効力を維持することが不当であると主張して上告した。原審は、当該…
事件番号: 昭和26(オ)273 / 裁判年月日: 昭和29年2月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】契約成立後の事情変更を理由とする契約解除や改訂を認めるには、当事者が予見し得なかった事情の変化が生じ、当初の契約通りの効果を発生させることが著しく信義衡平の原則に反する場合に限られる。本件のように、物価高騰が予見可能であり、かつ債務者が履行を不当に阻害した等の事情がある場合には、事情変更の原則の適…