判旨
第一審で提出された訴訟委任状により、民事訴訟法上の特別の委任(現行55条2項に相当)がなされていることが記録上明らかな場合、上訴等に関する代理権の存在は適法に認められる。
問題の所在(論点)
第一審で提出された訴訟委任状に特別の授権(現行法55条2項)が含まれている場合、その代理権の効力は後続の訴訟手続においてどのように認められるか。
規範
訴訟代理人が上訴の提起等の特別な行為を行うためには、民事訴訟法(当時の81条2項、現行55条2項)に基づき、本人からの特別の授権が必要である。この授権の有無は、第一審等で提出された訴訟委任状等の記載内容および記録に基づき判断される。
重要事実
上告人は、訴訟代理人の権限等について法令違反を主張して上告を申し立てた。しかし、当該事件の第一審において提出されていた訴訟委任状の記載を確認したところ、そこには当時の民事訴訟法81条2項(現行55条2項)が定める特別の授権に関する事項が含まれていた。
あてはめ
本件において、第一審に提出された訴訟委任状を確認すると、代理人に対して特別な権限を与える旨の授権がなされていることが記録上明らかである。したがって、代理人が行った訴訟行為は、適法な授権に基づいたものと評価される。上告人が主張するような法令の解釈に関する重要な問題や、上告理由に該当する事由は存在しないといえる。
結論
訴訟委任状により特別の授権がなされていることが明らかなため、代理権の欠缺等の違法はなく、本件上告は棄却される。
実務上の射程
訴訟代理権の存否、特に特別授権(反訴、取下げ、和解、上訴の提起等)の有無が争点となる事案で、委任状の記載という客観的証拠に基づき権限の有無を確定させる際の実務的運用を示すものである。
事件番号: 昭和31(オ)369 / 裁判年月日: 昭和34年6月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特定の代理権(基本代理権)を有する者が、その権限を越えて代理行為をした場合において、相手方がその代理権があると信ずべき正当な理由があるときは、民法110条の権限外の行為の表見代理が成立する。 第1 事案の概要:上告人の代理人Dは、被上告組合からの立替金名義による金員の借入れおよび同組合に対する預金…