判旨
訴訟記録上、適法に訴訟代理人が選任されていることが明らかな場合、当該代理人を通じて行われた主張や事実の合意は有効であり、後から代理権の不在を主張して事実認定を争うことはできない。
問題の所在(論点)
訴訟記録上、訴訟代理権の授与を証する書面が存在する場合に、本人が代理権の不在を理由として、当該代理人が関与した手続における事実認定の違法を主張できるか。
規範
訴訟代理権の存否は、訴訟記録に編綴された委任状等の客観的な資料に基づき判断される。適法に選任された訴訟代理人が訴訟を追行した場合、その代理人が行った主張や自白等の訴訟行為の効果は本人に帰属し、裁判所はこれに基づき事実を確定することができる。
重要事実
上告人A2は、主債務者A1の債務について連帯保証をした事実はなく、また本件訴訟において訴訟代理人を委任したこともないと主張して、連帯保証の事実を「争いなし」として確定した原審の判断を非難した。しかし、訴訟記録には、一審から上告審に至るまで同一の弁護士を訴訟代理人として選任した旨の委任状が編綴されていた。
あてはめ
本件記録には、一審、二審および当審を通じて、上告人A2らの訴訟代理人として特定の弁護士を選任した旨の訴訟代理委任状が綴じられている。この客観的事実に基づけば、当該弁護士は適法な代理権を有していたといえる。したがって、同代理人の関与のもとで連帯保証の点が当事者間に争いのない事実として扱われ、裁判所がそれを基礎に事実を確定したことは、適法な訴訟手続に基づくものと評価される。
結論
訴訟代理権の欠如を理由とする上告理由は採用できず、上告を棄却する。
実務上の射程
訴訟行為の効力や事実認定の基礎となる代理権の存否について、委任状等の書面による形式的確認の重要性を示す。実務上、代理権の不存在を後出しで主張することは、記録上の裏付けがない限り極めて困難である。
事件番号: 昭和34(オ)1023 / 裁判年月日: 昭和35年12月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特定の証拠(日記)が提出されていないという事実自体から、契約不成立の事実を推認することは許される。また、提出された全証拠を総合しても契約締結の事実が認められない場合には、請求を排斥すべきである。 第1 事案の概要:上告人は、被上告人との間で連帯保証契約が成立したと主張したが、原審はその契約成立を認…