判旨
保証人が特定の条件下での借入れのみを保証する意思であったと主張しても、客観的事実として別の融資形態について連帯保証をしたと認められる場合には、その保証債務が有効に成立する。
問題の所在(論点)
保証人が「特定の条件(運転資金としての借入れ)の下でのみ保証する意思であった」と主張する場合に、客観的に認定された別の性質の融資(協調融資)についての保証契約の成立を否定できるか(保証契約の意思表示の解釈と成立範囲)。
規範
保証契約の成否およびその対象は、契約締結時の当事者の意思表示を客観的な事実関係に基づき合理的に解釈して判断される。保証人が内心で特定の資金使途や授受条件を前提としていたとしても、客観的に確定された事実に基づき連帯保証の合意が認められる以上、その前提条件の欠如を理由に保証債務の成立を否定することはできない。
重要事実
上告人A2、A3および亡Dは、被上告人から運転資金として借り入れる金150万円の授受を条件として連帯保証をする意図であった(協調融資資金の借入れにつき保証する意思はなかった)と主張して、保証債務の履行を拒んだ。しかし、原審は証拠に基づき、本件150万円は協調融資資金の借入れであり、かつ上告人らが当該協調融資資金の借入れについて連帯保証をした事実を認定した。
あてはめ
上告人らは「運転資金としての借入れ」を条件とする保証の意思を主張するが、原判決が認定した事実は「協調融資資金の借入れ」に対する連帯保証の合意が存在したことである。上告人らの抗弁は、内心の意図と客観的に認定された合意内容が齟齬することを前提としているが、事実に照らせば協調融資に対する保証の意思表示があったと認められるため、上告人らの抗弁はその前提を欠くものとして排斥される。
結論
上告人らは本件協調融資資金の借入れについて連帯保証をしたものと認められるため、保証債務を負担する。本件上告は棄却される。
実務上の射程
意思表示の解釈において、内心の動機や前提条件が客観的な契約内容と異なる場合でも、認定された事実に基づき契約の成立が肯定されることを示す事例である。司法試験においては、錯誤(民法95条)の主張がなされる場面での「動機の表示」の有無や、契約の合致(意思表示の解釈)の局面で、事実認定の重要性を補強する材料として利用できる。
事件番号: 昭和34(オ)1081 / 裁判年月日: 昭和35年12月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴訟記録上、適法に訴訟代理人が選任されていることが明らかな場合、当該代理人を通じて行われた主張や事実の合意は有効であり、後から代理権の不在を主張して事実認定を争うことはできない。 第1 事案の概要:上告人A2は、主債務者A1の債務について連帯保証をした事実はなく、また本件訴訟において訴訟代理人を委…