(少数意見)「金額百万円振出人東京中央区E株式会社代表取締役Dなる小切手の支払に関し、一切の責任をB1、B2連名の上保証申上げます。B1(印)B2(印)」なる証書を差し入れた事実を認め、その書証としての成立を認めた以上は、特段の事情のない限り、右記載に反する認定判断をすべきでないのに、原判決は右特段の事情の存在について審理不尽、理由不備の違法があるとすべきである。
書証の排斥につき審理不尽、理由不備の違法があるとの少数意見が付せられた事例。
民訴法394条,民訴法395条1項6号
判旨
書証の記載内容は、特段の事情がない限りその記載自体を基礎として判断すべきであり、事実上の内情を理由に真実の合意を否定するには高度の立証を要する。
問題の所在(論点)
明確な保証文言のある書面が作成されている場合に、それとは異なる「内情」を根拠として、書面の記載内容に反する事実認定を行うことが許されるか。
規範
書証の解釈にあたっては、その記載自体を基礎とすべきであり、特段の事情がない限り、記載内容に反する判断をなすことは許されない。文言上明確な保証の意思表示がある場合、単なる「取立協力」等の主観的意図や、通常の貸金保証においてありふれた事情のみをもって、直ちに真意を否定する「特段の事情」と認めることはできない。
重要事実
上告人が主債務者Dに対し貸し付けを行う際、被上告人両名は、金額100万円の小切手支払に関し「一切の責任を連名の上保証申し上げます」との書面(甲第2号証)を差し入れた。しかし、原審は「内情が存在していた」として、これは真正な保証債務を負担する意思ではなく、債権者もこれを了承していたと認定し、保証債務の成立を否定した。
あてはめ
本件書面には「一切の責任を連名の上保証申し上げます」という明確な保証文言が存在する。原審が認定した「内情」や「取立への協力」といった事情は、貸金の保証に際して一般的に見られる事柄であり、書面による明示的な意思表示を覆すに足りる「特段の事情」とは認めがたい。このような事情のみで書面と異なる認定をすることは、審理不尽・理由不備の欠陥がある(少数意見の論理)。
結論
書面の文言通りの保証債務の成立を認めるべきであり、特段の事情がない限り、記載に反する事実認定は認められない。本件上告は棄却されたものの、実務上は少数意見が示す「書証の記載を基礎とする」原則が重要視される。
実務上の射程
司法試験の民事訴訟法における事実認定や、民法上の意思表示の解釈において活用できる。処分証書についてはその記載通りの意思表示がなされたと強く推定されるべきであり、これを覆す「特段の事情」は厳格に解すべきであるという立論の基礎となる。
事件番号: 昭和34(オ)693 / 裁判年月日: 昭和35年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】文書の真正は、挙示された証拠資料に基づき原審の専権事項として判断されるべきものであり、印顆の盗用等の反証がない限り、その成立を肯定することができる。 第1 事案の概要:上告人は、提出された証拠(甲2、3、4号証の1)が真正に成立したものではないと主張した。具体的には、印章が盗用されたものであること…