判旨
区裁判所(旧制)で成立した調停の調停調書に対する請求異議の訴えの第一審管轄は、裁判所法施行後においては、当該区裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の専属管轄に属する。
問題の所在(論点)
旧制の区裁判所で成立した調停調書に対する請求異議の訴え(民事執行法35条参照)について、裁判所法施行後における第一審の専属管轄裁判所はどこか。
規範
旧制の区裁判所において成立した調停に基づく執行力ある債務名義(調停調書)に対する請求異議の訴えについては、裁判所法施行後の管轄体系に照らし、当該区裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が第一審の専属管轄裁判所となる。
重要事実
上告人は、旧制の区裁判所において成立した調停の調停調書を債務名義とする強制執行に対し、請求異議の訴えを提起した。原審は、当該区裁判所の所在地を管轄する地方裁判所を管轄裁判所として審理・判決を行ったが、上告人はこれが管轄違いであるとして上告した。
あてはめ
最高裁は、昭和28年5月7日の第一小法廷判決を引用し、裁判所法施行後における管轄の所在を判断した。区裁判所の業務を承継した現在の裁判所体系において、債務名義が作成された旧区裁判所の所在地を基準として管轄を定めるべきである。本件において、原判決が当該所在地を管轄する地方裁判所に管轄を認めたことは、管轄の定めに照らして適法であり、法令の誤解はないと解される。
結論
請求異議の訴えの第一審は、旧区裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の専属管轄に属する。したがって、管轄違いを理由とする上告は棄却される。
実務上の射程
本判決は、旧法下の債務名義に関する管轄の承継関係を明確にしたものである。現在の司法試験実務においては、民事執行法35条3項および33条の規定に基づき、基本的には「第1審裁判所」が管轄することを原則としつつ、旧制度下で成立した債務名義の扱いについては、当時の所在地を基準に現行の地方裁判所が対応するという実務上の処理指針として理解される。
事件番号: 昭和24(オ)271 / 裁判年月日: 昭和28年5月7日 / 結論: 棄却
一 調停調書に対する請求異議の訴の第一審は、当該調停の成立した裁判所の専属管轄に属する。 二 区裁判所で成立した調停に対し裁判所法施行後に提起する請求異議の訴の第一審は、右区裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の専属管轄に属する。 三 家屋の賃貸人がみずから使用する必要があるとして、賃借人を相手方として家屋明渡の調停を申…