高等裁判所において成立した和解の和解調書に対する請求異議の訴の第一審管轄裁判所を当該高等裁判所と解することはできない。
高等裁判所の和解調書に対する請求異議の訴の管轄。
民訴法545条1項,民訴法560条,裁判所法16条
判旨
高等裁判所は、和解調書に対する請求異議の訴えについて第一審裁判所として管轄を有するものではない。
問題の所在(論点)
和解調書に対する請求異議の訴えについて、高等裁判所が第一審としての管轄権を有するか(専属管轄違反の有無)。
規範
裁判所法16条により、高等裁判所の管轄は、地方裁判所の判決に対する控訴等に限定されており、民事執行法上の請求異議の訴えについて第一審としての管轄権を有することはない。
重要事実
上告人は、和解調書に基づく執行力の排除を求めて請求異議の訴えを提起したが、第一審の管轄権や釈明義務違反、仮執行宣言の可否等を巡って争われた。原審(高等裁判所)がこれら上告人の主張を排斥したため、上告人が高等裁判所の第一審管轄権の有無や手続の違憲性を主張して上告した。
あてはめ
裁判所法16条の規定に照らせば、高等裁判所が管轄するのは下級裁判所の判決に対する不服申立て等であり、和解調書という債務名義を対象とする請求異議の訴えを第一審として受理する権限は明文上存在しない。したがって、高等裁判所が第一審管轄を有しないとした原判断に専属管轄違反の違法は認められない。
結論
高等裁判所は、和解調書に対する請求異議の訴えについて第一審裁判所としての管轄権を有しない。
実務上の射程
請求異議の訴え(民事執行法35条)は、原則として第一審裁判所の専属管轄に属する。本判決は、和解調書が債務名義である場合であっても、裁判所法上の高等裁判所の職務権限から外れることを確認したものであり、管轄違いの抗弁を検討する際の基礎的な判断基準となる。
事件番号: 昭和34(オ)878 / 裁判年月日: 昭和37年3月15日 / 結論: 棄却
民訴第三五六条の和解に対する請求異議の訴は、和解の成立した裁判所の専属管轄に属する。