民訴第三五六条の和解に対する請求異議の訴は、和解の成立した裁判所の専属管轄に属する。
民訴法第三五六条の和解に対する請求異議の訴の管轄
民訴法356条,民訴法545条,民訴法560条,民訴法563条
判旨
即決和解調書に基づく強制執行の排除を求める請求異議の訴えは、訴訟物の価額にかかわらず、当該即決和解が成立した裁判所の専属管轄に属する。
問題の所在(論点)
即決和解調書を債務名義とする請求異議の訴えの管轄裁判所はどこか。特に、訴訟物の価額(土地の価格等)に基づき地方裁判所と簡易裁判所のいずれが管轄を有するか、および専属管轄の成否が問題となる。
規範
民事執行法33条2項(旧民事訴訟法545条2項)に規定される「第1審裁判所」とは、債務名義が裁判上の和解である場合、当該和解が成立した裁判所を指す。また、即決和解(民事訴訟法275条)に基づく請求異議の訴えにおいては、事案の性質上、訴訟物の価額にかかわらず、当該和解を成立させた裁判所の専属管轄に属すると解するのが相当である。
重要事実
上告人は、即決和解(訴え提起前の和解)の手続きによって作成された和解調書を債務名義とする強制執行に対し、その排除を求めて請求異議の訴えを提起した。本件では、当該即決和解が成立した裁判所以外の裁判所に訴えが提起されたか、あるいは訴訟物の価額に基づく管轄の有無が争点となったが、原審は和解成立裁判所の専属管轄を認めたため、上告人がこれを不服として上告した。
あてはめ
請求異議の訴えは、債務名義の成立に関与した裁判所がその内容を最も熟知していることから、当該裁判所の専属管轄とされている(民執法33条2項)。即決和解の場合も、通常の訴訟上の和解と同様に、和解が成立した裁判所がその債務名義の成立に直接関与している。したがって、訴訟物の価額(訴額)がいくらであるかを問わず、また事案の内容の如何にかかわらず、即決和解を成立させた裁判所が第一審の管轄裁判所として固定されるべきである。本件において、原審が和解成立裁判所の専属管轄を認めた判断は、右規範に合致しており正当である。
結論
即決和解に基づく請求異議の訴えは、訴額にかかわらず、当該和解が成立した裁判所の専属管轄に属する。本件上告は棄却される。
実務上の射程
即決和解(訴え提起前の和解)が簡易裁判所で行われた場合、その内容に関する請求異議の訴えは、訴額が140万円を超える場合であっても、地方裁判所ではなく当該簡易裁判所が管轄することになる。実務上、管轄違いによる訴えの却下や移送を避けるために不可欠な知識である。なお、本判決は旧法下のものであるが、現行民事執行法33条2項の下でも維持されている法理である。
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