判旨
調停前置主義が適用される家庭に関する訴訟事件であっても、調停を経ずに訴えを提起したことは不適法ではなく、裁判所が適当と認めれば直ちに訴訟手続を進行できる。
問題の所在(論点)
家事事件手続法(旧家事審判法)の定める調停前置主義に反して、調停を経ずに直ちに提起された訴えにつき、裁判所が調停に付さず訴訟手続を進行させることの可否。
規範
家庭に関する訴訟について調停手続を先行させるべきとする原則は絶対的なものではない。調停を経ずに訴えが提起された場合、裁判所は原則として事件を調停に付すべきであるが、これを不適当と認めるときは、裁量により直ちに訴訟手続を進行させることができる。
重要事実
上告人は、家庭に関する訴訟事件について、法がまず調停手続を経るべきもの(調停前置主義)と定めているにもかかわらず、本件では調停手続を経ていないとして、訴えの不適法を主張し上告した。具体的な事案の内容や経緯の詳細は、判決文からは不明である。
あてはめ
法が調停前置主義を定めている趣旨は家庭平和の維持等にあるが、本件のように調停手続を経ていない場合でも、裁判所がそれを不適当と思料したときは、訴えを不適法として却下するのではなく、その判断に基づき訴訟手続を進めることが許容される。本件において裁判所が訴訟手続を進行させたことは、法の趣旨に反する違法なものとはいえない。
結論
調停を経ずに提起された訴えも不適法ではなく、裁判所の裁量により直ちに訴訟手続を進行できる。したがって、上告人の主張には理由がなく、本件上告は棄却される。
実務上の射程
調停前置の要件が「訴訟要件」ではなく「裁判所の職権回付義務」に関する規定であることを示した判例である。実務上、調停を省略して提訴された場合でも、受訴裁判所が適当と認めれば訴訟は有効に継続し、不適法却下されることはないという理論的支柱として用いる。
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