判旨
農地法等の前身である旧農業調整法9条2項但書にいう「特別の事由により一時賃貸借をなしたることが明らかな場合」に該当するか否かは、賃貸借の期間、目的、経緯等の諸事情を総合して判断される。
問題の所在(論点)
本件農地の賃貸借契約が、旧農業調整法9条2項但書に規定される「特別の事由により一時賃貸借をしたことが明らかな場合」に該当し、解約制限等の適用が除外されるか。
規範
旧農業調整法9条2項但書(現行農地法18条1項に相当する趣旨)の「特別の事由により一時賃貸借をしたことが明らかな場合」に該当するかは、単に契約の名称のみならず、賃貸借の成立に至る具体的経緯や、客観的な利用期間の限定性といった諸事情に基づき、耕作権の継続的保護を図るべき通常の賃貸借と区別できるかによって判断される。
重要事実
被上告人と訴外DおよびEとの間で、昭和20年春頃から昭和21年2月頃までの期間、およびその後昭和21年度の1年間にわたり農地の賃貸借契約が締結された。上告人は、これらの契約が旧農業調整法9条2項但書の「一時賃貸借」には該当しないと主張して争った。
あてはめ
原審が認定した事実関係によれば、本件の各契約(昭和20年春から昭和21年2月までの契約、および昭和21年度の1年間の契約)は、いずれもその期間や成立の背景に照らし、継続的な耕作を前提としたものではなく、一時的な利用を目的としたものであることが客観的に認められる。したがって、同法同条同項但書の要件を充足するものと解される。
結論
本件賃貸借は一時賃貸借に該当するとした原判決の判断は相当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
農地の賃貸借における解約制限の例外規定(現行農地法18条1項各号の趣旨)の適用範囲を画する際の判断枠組みとして活用できる。特に「一時賃貸借」の成否が争点となる事案において、期間の短さや設定の経緯を重視する実務上の運用を支持する判例である。
事件番号: 昭和24(オ)107 / 裁判年月日: 昭和28年11月25日 / 結論: 棄却
一 自作農創設特別措置法による農地の買収において、買収農地につき農地所有者は選択権を有しない。 二 自作農創設特別措置法が農地所有者に買収農地の選択権を与えなくても、同法を違憲とすることはできない。
事件番号: 昭和26(オ)257 / 裁判年月日: 昭和34年3月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地法(旧農地調整法)上の「一時賃貸借」に該当する場合、賃貸借の解約等について知事の許可を要せず、便宜的になされた許可における正当事由の有無も問題とならない。 第1 事案の概要:農地の賃借人と賃貸人の間において、当該賃貸借契約が一時的なものであると認定された事案。知事は便宜的に当該賃貸借に関する許…