判旨
賃貸借契約が合意解除された場合、当事者間の合意という事実に照らし、特段の事情がない限りその解除の効力が認められる。
問題の所在(論点)
賃貸借契約における合意解除の成否およびその事実認定の妥当性。
規範
契約自由の原則に基づき、賃貸借契約を将来に向かって消滅させる合意解除は、当事者間の合意によって有効に成立する。裁判所が証拠に基づき合意解除の事実を認定した場合には、その法的効果を認めるべきである。
重要事実
上告人と相手方との間の賃貸借関係について、昭和20年6月2日に合意解除が成立したか否かが争点となった。原審は、証拠(書証および証人の証言)を総合して、当該期日に合意解除がなされた事実を認定した。
あてはめ
本件では、書証(乙第1号証の1、2、甲第1号証の2)に加え、証人Dの複数回にわたる証言といった証拠資料が示されている。原審はこれらの資料を総合的に判断しており、当該認定資料の内容に照らせば、昭和20年6月2日に合意解除があったとする事実に合理性があるといえる。
結論
本件賃貸借契約は合意解除されたものと認められ、上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は、具体的な合意解除の事実認定手法を示すものであり、答案上は賃貸借の終了原因として合意解除を主張する際の事実認定の枠組みとして参照し得る。ただし、本決定自体は事実誤認の主張を排斥した簡潔な判断に留まるため、実務的には証拠の総合評価の重要性を確認するにとどまる。
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事件番号: 昭和27(オ)306 / 裁判年月日: 昭和29年6月17日 / 結論: 棄却
罹災都市借地借家臨時処理法第二条に基く賃借権は当然対抗力をそなえ賃借権者は、これを侵害する者に対し妨害排除を請求することができる。