判旨
土地区画整理に伴う仮換地の指定により、従前の土地が使用収益できなくなった場合であっても、土地区画整理施行者への申告等を通じて仮換地を使用収益し得る地位にある以上、賃借権存在の確認を求める訴えの利益が認められる。
問題の所在(論点)
土地区画整理事業により仮換地が指定され、従前の土地の使用収益が不可能となった場合において、当該土地にかかる賃借権存在確認の訴えの利益が認められるか。
規範
確認の訴えの利益が認められるためには、対象となる権利関係の存否につき当事者間に争いがあり、かつ、判決を得ることが紛争解決のために必要かつ適切でなければならない。土地の賃借権については、仮換地指定により従前の土地が使用不能となっても、手続上、仮換地の使用収益権を得る余地がある限り、現在の法的地位の不安定を解消する必要性が認められる。
重要事実
賃貸借契約の当事者間で、当該契約の存否が争われた事案である。対象土地は土地区画整理事業の対象となっており、仮換地の指定がなされた結果、賃借人は従前の土地を物理的に使用収益することができなくなっていた。上告人(賃貸人側)は、従前の土地が使用不能となった以上、賃借権存在確認の訴えの利益は失われると主張して争った。
あてはめ
仮換地の指定を受けた場合であっても、賃借人は区画整理施行者に対して権利の申告を行い、仮換地を賃借権の目的とする旨の指定を受けることで、仮換地を継続的に使用収益し得る法的地位にある。そうすると、賃借権の存否は単なる過去の事実の問題ではなく、現在の仮換地における使用収益権の根拠となる重要な権利関係である。したがって、当事者間にその存否について争いがある以上、確認判決を得ることは賃借人の法的地位の不安定を解消するために必要かつ適切であるといえる。
結論
仮換地指定により従前の土地が使用収益できなくなっても、賃借権存在の確認を求める訴訟上の利益は失われない。
事件番号: 昭和34(オ)326 / 裁判年月日: 昭和36年3月7日 / 結論: 棄却
従前の土地の一部について賃借権を有する者はたとえその賃借部分が仮換地に含まれていても、賃借権について仮に権利の目的となるべき部分の指定を受けないかぎり、右賃借部分の使用権を有しない。
実務上の射程
物件等の変動を伴う行政手続(区画整理等)下における私法上の権利の確認の利益を肯定する射程を持つ。答案上は、対象物の物理的な現状変更があっても、その権利が将来の代替的権利(仮換地上の権利等)の法的根拠となる場合には「現在の権利関係」として確認の利益を肯定する論拠として用いる。
事件番号: 昭和44(オ)332 / 裁判年月日: 昭和44年7月24日 / 結論: 棄却
従前の土地の一部に賃借権を有する者は、右賃借権について権利指定の届出をした場合であつても、区画整理事業の施行者から仮換地上の使用収益部分の指定を受けないかぎり、仮換地を現実に使用収益する権限を有しない。
事件番号: 昭和35(オ)28 / 裁判年月日: 昭和35年9月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賃貸人の地位を承継した者が、合意解約の成立していない賃貸借物件の賃借権の存在を否認している場合には、賃借人は賃貸人に対し賃借権の確認を求める利益を有する。また、賃貸人の買受の意図がどうあれ、適法に存続する賃借権を主張することは権利の濫用には当たらない。 第1 事案の概要:被上告人(賃借人)は本件宅…
事件番号: 昭和27(オ)115 / 裁判年月日: 昭和29年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賃貸借契約が合意解除された場合、当事者間の合意という事実に照らし、特段の事情がない限りその解除の効力が認められる。 第1 事案の概要:上告人と相手方との間の賃貸借関係について、昭和20年6月2日に合意解除が成立したか否かが争点となった。原審は、証拠(書証および証人の証言)を総合して、当該期日に合意…