判旨
裁判官の更迭があった場合に更新手続を怠った違法があっても、判決の基本となる口頭弁論において弁論を更新した場合には、当該違法は補正されたものと解するのが相当である。
問題の所在(論点)
裁判官の更迭があった場合に、一部の期日で更新手続を怠ったとしても、その後の判決の基礎となる口頭弁論で更新手続が行われていれば、手続上の違法は解消されるか(民事訴訟法249条2項の更新手続の瑕疵と補正の成否)。
規範
裁判官の更迭(民事訴訟法249条2項)に伴う弁論の更新手続に瑕疵がある場合であっても、判決の基礎となる最終の口頭弁論期日において適法な弁論の更新がなされたのであれば、それ以前の更新手続の不備という訴訟手続上の違法は補完・治癒される。
重要事実
本件では、数回の口頭弁論において関与した裁判官の更迭があった。その際、途中の期日において更新手続を怠ったという違法がある旨が上告人によって主張されたが、判決の基本となる口頭弁論(最終の口頭弁論)においては、適法な弁論の更新が行われていた。
あてはめ
判決の基礎となるのは最終の口頭弁論であり、その段階で適法に弁論の更新が行われれば、裁判官は直接主義の趣旨に従い、それまでの弁論の結果を把握して判決を下すことが可能となる。本件では、判決の基本たる口頭弁論において適法な更新が行われているため、それ以前に更新手続を怠った事実があったとしても、訴訟手続の違法は補正されたといえる。
結論
本件における訴訟法違背の主張は認められず、上告は棄却される。
実務上の射程
弁論の更新の懈怠が、最終的な判決に至るまでの間に適法な更新によって治癒されることを認めた判例である。答案上では、直接主義(249条1項)の例外としての更新手続(同条2項)の趣旨を損なわない範囲での手続的瑕疵の治癒を論じる際の論拠として使用できる。
事件番号: 昭和39(オ)690 / 裁判年月日: 昭和41年2月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判官の更迭後に弁論の更新がなされないまま訴訟手続が進められたとしても、その後の最終口頭弁論期日において更迭後の裁判官構成のもとで従前の口頭弁論の結果が陳述された場合には、手続上の瑕疵は治癒される。 第1 事案の概要:本件訴訟の控訴審において、第9回口頭弁論期日後に裁判官の一部が更迭されたが、続く…
事件番号: 昭和27(オ)1059 / 裁判年月日: 昭和28年5月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、上告理由が実質的に法令違反や事実認定の不当を主張するものに過ぎず、民事上告事件の審判の特例に関する法律所定の上告事由に該当しないとして棄却された事例である。 第1 事案の概要:上告人は、原判決における憲法違反等を主張して上告を提起した。また、原審の口頭弁論に関与した裁判官の署名捺印の有無に…
事件番号: 昭和39(オ)787 / 裁判年月日: 昭和40年3月11日 / 結論: 棄却
忌避申立を受けた裁判官が忌避申立についての裁判確定前になした判決は、その後右申立が理由なしとして排斥されその裁判が確定するに至つたときは、有効となるものと解するのを相当とする。