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弁論更新手続上のかしが補正されたものと認められた事例
民訴法187条1項,民訴法187条2項
判旨
裁判官の更迭があった際、一時的に弁論更新の手続を欠いたとしても、その後の口頭弁論期日において当事者双方が従前の弁論の結果を陳述した場合には、訴訟手続上の瑕疵は補正される。
問題の所在(論点)
裁判官の更迭に伴う弁論更新の手続(民事訴訟法249条2項)を一時的に欠いた場合、その後の口頭弁論における陳述によって当該手続上の瑕疵が補正されるか。
規範
裁判官が更迭された場合、直接主義の観点から弁論の更新(民事訴訟法249条2項)を要するが、一時的に当該手続を欠いたとしても、その後に更迭された裁判官の前で当事者双方が従前の口頭弁論の結果を陳述し、さらに審理が遂げられた場合には、先行する手続上の瑕疵は補正されるものと解する。
重要事実
本件の第一審において、第4回から第8回口頭弁論を担当した裁判官(萩尾)のもとでは、弁論更新の手続が行われなかった。しかし、その後に更迭した裁判官(吉田)の第10回口頭弁論期日、および最後に更迭した裁判官(飯原)の第36回口頭弁論期日において、原被告双方の代理人が従前の口頭弁論の結果を陳述した。その後、裁判官(飯原)がさらに審理を継続した上で口頭弁論を終結し、判決を言い渡した。
事件番号: 昭和39(オ)690 / 裁判年月日: 昭和41年2月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判官の更迭後に弁論の更新がなされないまま訴訟手続が進められたとしても、その後の最終口頭弁論期日において更迭後の裁判官構成のもとで従前の口頭弁論の結果が陳述された場合には、手続上の瑕疵は治癒される。 第1 事案の概要:本件訴訟の控訴審において、第9回口頭弁論期日後に裁判官の一部が更迭されたが、続く…
あてはめ
本件では、中間の審理過程において一時的に弁論更新の手続が欠けていた事実は認められる。しかし、その後に担当した裁判官らのもとで、当事者双方が改めて「従前の口頭弁論の結果」を陳述している。これは実質的に弁論の更新手続が行われたのと同視でき、裁判所が従前の審理内容を把握した上で判決を行う基礎が形成されたといえる。したがって、当初の手続違背という瑕疵は、その後の適法な陳述手続によって治癒・補正されたと評価される。
結論
訴訟手続上の瑕疵は補正されており、原判決に違法はない。本件上告は棄却される。
実務上の射程
裁判官の更迭後に更新手続を失念した場合の救済法理として機能する。答案上は、直接主義の趣旨(裁判官に心証形成の基礎を直接提示する)から更新手続の必要性を論じた上で、後の期日での陳述による「瑕疵の補正」を認める論理として活用できる。
事件番号: 昭和27(オ)1159 / 裁判年月日: 昭和29年4月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判官の更迭があった場合に更新手続を怠った違法があっても、判決の基本となる口頭弁論において弁論を更新した場合には、当該違法は補正されたものと解するのが相当である。 第1 事案の概要:本件では、数回の口頭弁論において関与した裁判官の更迭があった。その際、途中の期日において更新手続を怠ったという違法が…
事件番号: 昭和39(オ)787 / 裁判年月日: 昭和40年3月11日 / 結論: 棄却
忌避申立を受けた裁判官が忌避申立についての裁判確定前になした判決は、その後右申立が理由なしとして排斥されその裁判が確定するに至つたときは、有効となるものと解するのを相当とする。
事件番号: 昭和45(オ)514 / 裁判年月日: 昭和47年5月4日 / 結論: 棄却
民訴法一八七条三項は、本人尋問には準用されない。