民訴法一八七条三項は、本人尋問には準用されない。
民訴法一八七条三項は本人尋問に準用されるか
民訴法187条3項
判旨
裁判官の更迭があった場合でも、当事者が証人尋問の申出を撤回したときは、再度の尋問を行う必要はない。また、証人尋問について定められた裁判官更迭時の更新義務(旧民訴法187条3項)は、本人尋問には準用されない。
問題の所在(論点)
裁判官の更迭があった場合において、撤回された証人尋問の申出について再度の尋問を行う義務があるか。また、旧民訴法187条3項(証人尋問のやり直し)が本人尋問に準用されるか。
規範
裁判官の更迭があった場合、従前の口頭弁論の結果を更新する必要がある。特に証人尋問については、原則として更迭後の裁判官が再度尋問を行わなければならない(旧民訴法187条3項)。しかし、当事者が証人尋問の申出を適法に撤回した場合には、重ねて尋問を行う必要は認められない。また、本人尋問については同条項の準用はなく、更迭後の裁判官が当然に再度尋問を行う義務を負うものではない。
重要事実
本件訴訟の係属中、被上告人は訴訟の目的である権利を譲り受け、民事訴訟法上の訴訟参加(承継参加)の手続をとった。原審の第40回口頭弁論期日において、裁判官の過半数が更迭された。被上告人は当初、Dを証人として尋問することを申し出ていたが、裁判官の更迭があった後に、自らその尋問の申出を撤回した。上告人は、裁判官の更迭があったにもかかわらず適切な証拠調べが行われていないとして、手続の違法を主張した。
事件番号: 昭和32(オ)415 / 裁判年月日: 昭和34年6月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判官の更迭に伴い弁論の更新がなされた場合において、当事者が従前の証人につき再尋問の申出をしない限り、更新前の証拠調べの結果を判決の基礎とすることは適法である。 第1 事案の概要:上告人は、建物の譲渡を受けたとして所有権を主張したが、原審(控訴審)はこれを認めず請求を棄却した。原審の審理過程におい…
あてはめ
本件では、裁判官の更迭があったことは事実であるが、被上告人は既にDの証人尋問の申出を自ら撤回している。証拠調べの申出が放棄された以上、更迭後の裁判官が再度の尋問を行う余地はない。また、上告人が主張する本人尋問の必要性についても、旧民訴法187条3項が本人尋問に準用されないという確立した判例に照らせば、更迭に伴う再尋問を行わなかった原審の判断に違法はない。
結論
裁判官の更迭後に証人尋問の申出が撤回された場合や、本人尋問の更新については、再度の尋問を要せず、原判決に違法はない。
実務上の射程
裁判官更迭時の「更新」の限界を示す。証人尋問の更新は当事者の申出があることを前提とし、撤回されれば不要となる点、および本人尋問には証人尋問のような直接主義の強い要請(再尋問義務)が及ばない点を明確にしている。答案上は、直接主義の例外や更新手続の瑕疵を論じる際の限定列挙的根拠として活用できる。
事件番号: 昭和50(オ)1254 / 裁判年月日: 昭和51年6月29日 / 結論: 棄却
(省略)
事件番号: 昭和39(オ)690 / 裁判年月日: 昭和41年2月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判官の更迭後に弁論の更新がなされないまま訴訟手続が進められたとしても、その後の最終口頭弁論期日において更迭後の裁判官構成のもとで従前の口頭弁論の結果が陳述された場合には、手続上の瑕疵は治癒される。 第1 事案の概要:本件訴訟の控訴審において、第9回口頭弁論期日後に裁判官の一部が更迭されたが、続く…
事件番号: 昭和45(オ)625 / 裁判年月日: 昭和45年12月4日 / 結論: 棄却
第一審において原告の請求が全部認容されたが、その控訴審において請求が減縮された場合において、原告の請求を相当とし、被告の控訴を理由がないと判断するときは、実質的に債務名義として有効に存続する部分を明確にするため、控訴判決の主文において、控訴を棄却したうえ、第一審判決を訂正し、減縮後の原告の請求自体につき認容する判決をす…