判旨
基本債権が消滅時効の完成により消滅した場合、これを目的として締結された停止条件付代物弁済契約は失効し、その後に代物弁済の選択権を行使することはできない。
問題の所在(論点)
基本債権が消滅時効によって消滅した場合、その債権を消滅させる目的で締結されていた停止条件付代物弁済契約の効力はどうなるか、および時効完成後に選択権を行使できるか。
規範
代物弁済契約は基本債権の存在を前提とするものであるから、基本債権が時効により消滅した場合には、特段の事情のない限り、当該代物弁済契約(停止条件付契約を含む)はその効力を失う。
重要事実
債権者と債務者の間で、基本債権について停止条件付代物弁済契約が締結されていた。しかし、基本債権について昭和20年5月25日以降5年が経過し、消滅時効が完成した。その後、債権者側が代物弁済契約に基づく選択権を行使しようとした。
あてはめ
本件では、基本債権について昭和20年5月25日から5年が経過したことで消滅時効が完成している。基本債権が時効により消滅した以上、その決済手段として予定されていた停止条件付代物弁済契約は、前提となる債権を欠くことになり失効したと解される。したがって、契約失効後において、選択権を行使して代物弁済の効力を発生させる余地はない。
結論
基本債権の時効消滅により停止条件付代物弁済契約は失効するため、その後の選択権行使は認められない。
実務上の射程
代物弁済予約や停止条件付代物弁済契約の事案において、基本債権の存否が契約の効力に直結することを示す。債権が時効消滅した後に代物弁済による権利移転を主張する場面での反論として活用できる。ただし、時効の援用があったことが前提となる点に注意を要する。
事件番号: 昭和36(オ)15 / 裁判年月日: 昭和38年10月10日 / 結論: その他
売買一方の予約に基づいて売買本契約が成立した場合は、売買予約締結当時を基準として詐害行為の要件の具備の有無を判断すべきである。
事件番号: 昭和40(オ)1110 / 裁判年月日: 昭和43年2月29日 / 結論: 棄却
貸金債権担保のため不動産に抵当権が設定され、あわせて同一債権保全のため右不動産について代物弁済の予約が締結された場合において、右抵当権の実行による競売手続が開始したときは、右競売手続が競売申立の取下その他の事由により終了しないかぎり、債権者が代物弁済の予約の完結権を行使することは許されない。
事件番号: 平成5(オ)1788 / 裁判年月日: 平成8年7月12日 / 結論: 破棄差戻
物上保証人に対する不動産競売において、被担保債権の時効中断の効力は、競売開始決定正本が債務者に送達された時に生ずる。
事件番号: 昭和31(オ)376 / 裁判年月日: 昭和32年12月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者間において、一定の債務を履行しないときに他の給付をもって弁済に充てる旨の合意がなされた場合、それが代物弁済の予約ではなく、停止条件付代物弁済の契約として成立することを肯定した。 第1 事案の概要:上告人と相手方との間で、ある債務の弁済に関連して、本件物件を代物弁済に充てる旨の契約が締結された…
事件番号: 昭和46(オ)1015 / 裁判年月日: 昭和47年12月26日 / 結論: 棄却
更生担保権の届出がなされても、更生担保権確定の訴が、民訴法二三八条により取り下げられたものとみなされたときは、右届出は、時効中断の効力を生じないと解すべきである。