更生担保権の届出がなされても、更生担保権確定の訴が、民訴法二三八条により取り下げられたものとみなされたときは、右届出は、時効中断の効力を生じないと解すべきである。
更生担保権確定の訴の擬制取下と会社更生法五条による時効中断の効力
民法149条,会社更生法5条
判旨
更生担保権の届出がなされても、その後に更生担保権確定の訴えが取り下げられたものとみなされ、権利を裁判上確定することができなくなった場合には、当該届出による時効中断の効力は生じない。
問題の所在(論点)
更生担保権の届出がなされた後、更生担保権確定の訴えが取り下げられたものとみなされた場合、当該届出による時効中断の効力(会社更生法5条、現行158条等参照)は維持されるか。
規範
更生手続における債権の届出は、消滅時効の中断(民法147条1号等)の効力を有するが、その後に当該債権を裁判上確定するための手続が取り下げられたものとみなされるなど、権利を裁判上確定することができなくなった場合には、当該届出による時効中断の効力は遡及的に消滅する。
重要事実
更生債権者(上告人)が会社更生法に基づき更生担保権の届出を行った。しかし、その後、更生担保権確定の訴えが提起されたものの、民事訴訟法(当時の238条。現行の訴え取り下げ擬制規定に相当)により、当該訴えは取り下げられたものとみなされるに至った。その結果、当該更生担保権を裁判上確定することが不可能となった事案である。
事件番号: 昭和49(オ)197 / 裁判年月日: 昭和50年11月28日 / 結論: 棄却
一、農地買収計画についての訴願を棄却した裁決が行政事件訴訟特例法に基づく裁決取消の訴訟において買収計画の違法を理由として取り消されたときは、右買収計画は効力を失うと解すべきである。 二、二重訴訟を解消するために前訴が取り下げられても、前訴の請求がそのまま後訴においても維持されている場合は、前訴の提起により生じた時効中断…
あてはめ
本件では、更生担保権の届出という時効中断を基礎付ける行為が一旦はなされている。しかし、時効中断の制度趣旨は、権利の上に眠らぬ者としての裁判上の権利行使を保護する点にある。本件において、更生担保権確定の訴えが取下げ擬制により終了し、権利の裁判上の確定が不可能となった以上、もはや裁判上の権利行使としての実質を欠くに至ったといえる。したがって、訴えの取下げがあった場合と同様、時効中断の効力は否定されるべきである。
結論
更生担保権確定の訴えが取り下げられたものとみなされたときは、更生担保権の届出による時効中断の効力は生じない。本件上告は棄却される。
実務上の射程
会社更生法のみならず、破産法や民事再生法における債権届出の時効中断効についても、その後の債権確定手続が失効・取下げとなった場合に同様の法理が適用される。倒産法上の手続と民法上の時効中断規定の接続を論じる際の標準的な規範として活用できる。
事件番号: 平成8(オ)2422 / 裁判年月日: 平成11年9月9日 / 結論: 破棄自判
一 債権者が、根抵当権の極度額を超える金額の被担保債権を請求債権として当該根抵当権の実行としての不動産競売の申立てをし、競売開始決定がされて同決定正本が債務者に送達された場合、被担保債権の消滅時効中断の効力は、当該極度額の範囲にとどまらず、請求債権として表示された当該被担保債権の全部について生じる。 二 物上保証人に対…
事件番号: 平成1(オ)653 / 裁判年月日: 平成元年10月13日 / 結論: 棄却
不動産強制競売手続において催告を受けた抵当権者がする債権の届出は、その届出に係る債権に関する裁判上の請求、破産手続参加又はこれらに準ずる時効中断事由に該当しない。
事件番号: 平成8(オ)718 / 裁判年月日: 平成11年11月25日 / 結論: 破棄自判
建築請負人からの注文者に対する請負契約に係る建物の所有権保存登記抹消登記手続請求訴訟の提起は、右請負代金債権の消滅時効中断事由である裁判上の請求に準ずるものとはいえず、右訴訟の係属中右請負代金について催告が継続していたということもできない。
事件番号: 昭和27(オ)1116 / 裁判年月日: 昭和28年12月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】基本債権が消滅時効の完成により消滅した場合、これを目的として締結された停止条件付代物弁済契約は失効し、その後に代物弁済の選択権を行使することはできない。 第1 事案の概要:債権者と債務者の間で、基本債権について停止条件付代物弁済契約が締結されていた。しかし、基本債権について昭和20年5月25日以降…