一、農地買収計画についての訴願を棄却した裁決が行政事件訴訟特例法に基づく裁決取消の訴訟において買収計画の違法を理由として取り消されたときは、右買収計画は効力を失うと解すべきである。 二、二重訴訟を解消するために前訴が取り下げられても、前訴の請求がそのまま後訴においても維持されている場合は、前訴の提起により生じた時効中断の効力は消滅しない。
一、農買収計についての訴願棄却裁決が行政事件訴訟特例法に基づく取消訴訟により買収計画の違法を理由として取り消された場合と買収計画の効カ ニ、二重訴訟解消のため前訴が取り下げられた場合と前訴の提起による時効中断の効力
行政事件訴訟特例法12条,民法147条,民法149条,民訴法231条
判旨
裁決取消判決が確定した場合、原処分の違法性も確定して失効する。また、訴えの取下げが権利主張の放棄にあたらない特段の事情がある場合には、民法上の時効中断の効力は失われない。
問題の所在(論点)
1. 裁決取消判決の確定により、原処分たる買収計画処分の効力が失われるか。2. 重複する訴訟を整理する目的でなされた訴えの取下げにより、当初の訴えによる時効中断の効力が消滅するか。
規範
1. 原処分の違法を理由に裁決を取り消す判決が確定したときは、原処分の違法も確定し、当該処分は効力を失う。2. 訴えの取下げが、権利主張の中止や公権的判断を受ける機会の放棄を意味しない特段の事情がある場合には、時効中断の効力は存続する。
重要事実
農地買収計画処分を受けた被上告人が、訴願棄却裁決に対し、原処分の違法を理由に裁決取消訴訟を提起して勝訴確定した。また、被上告人は並行して無効確認等の旧訴を提起していたが、相続人らに対する本訴の提起後に、手続上の便宜から旧訴を取り下げた。これに対し、被告側は買収処分の有効性と消滅時効を主張して争った。
事件番号: 昭和53(オ)1119 / 裁判年月日: 昭和59年9月20日 / 結論: 棄却
不動産の売買に基づく所有権移転登記手続請求権を被保全権利として処分禁止の仮処分を得た仮処分債権者は、売買が無効であつても、右売買によつて当該不動産の占有を開始し仮処分後にこれを時効により取得したときは、時効の完成したのちに右不動産を仮処分債務者から取得した第三者に対し、右仮処分が取得時効に基づく所有権移転登記手続請求権…
あてはめ
1. 裁決取消の訴えは実質的に原処分の効力排除を求めるものであり、救済の必要性や紛争の再燃防止の観点から、取消判決の確定により原処分は当然に失効する。2. 本件の旧訴取下げは、相続人に対する本訴への集約という「手続上の便宜」によるものであり、権利主張を放棄したものではない。したがって、時効中断の効力を否定する根拠(民法149条等)の趣旨に該当しない。
結論
1. 裁決取消判決の確定により買収計画処分は失効する。2. 特段の事情がある本件の取下げによって、旧訴提起による時効中断の効力は消滅しない。
実務上の射程
行政事件訴訟における裁決主義の例外や、判決の効力の及ぶ範囲(既判力・形成力)を論ずる際の論拠となる。また、民事手続上、訴えの取下げが形式的になされても、実質的に権利主張が継続している場合の時効中断の維持を基礎付ける射程を有する。
事件番号: 昭和39(オ)787 / 裁判年月日: 昭和40年3月11日 / 結論: 棄却
忌避申立を受けた裁判官が忌避申立についての裁判確定前になした判決は、その後右申立が理由なしとして排斥されその裁判が確定するに至つたときは、有効となるものと解するのを相当とする。
事件番号: 昭和31(オ)358 / 裁判年月日: 昭和33年4月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審において訴えの取下げがあった場合、その部分に関する第一審判決は当然に失効するため、控訴審は残余の部分についてのみ審理・判断を行えば足りる。 第1 事案の概要:上告会社(被告)に対し、金員支払の請求および土地明渡の請求がなされていた事案。控訴審(原審)において、金員支払請求の全部および土地明渡…
事件番号: 昭和46(オ)1015 / 裁判年月日: 昭和47年12月26日 / 結論: 棄却
更生担保権の届出がなされても、更生担保権確定の訴が、民訴法二三八条により取り下げられたものとみなされたときは、右届出は、時効中断の効力を生じないと解すべきである。
事件番号: 昭和48(オ)792 / 裁判年月日: 昭和50年10月29日 / 結論: 棄却
本件農地買収処分には、買収令書の交付に代わる公告手続に瑕疵があつたが、所論の買収令書の交付によつて右瑕疵が補正されたので、右買収処分は有効である。