不動産強制競売手続において催告を受けた抵当権者がする債権の届出は、その届出に係る債権に関する裁判上の請求、破産手続参加又はこれらに準ずる時効中断事由に該当しない。
不動産強制競売手続において抵当権者がする債権の届出と時効の中断
民法147条,民法149条,民法152条,民事執行法50条
判旨
不動産競売手続において抵当権者が行う「債権の届出」は、債権の確定や履行を求める性質を欠くため、消滅時効を中断(更新)する「裁判上の請求」等には該当しない。
問題の所在(論点)
不動産競売手続における抵当権者の債権の届出は、旧民法147条1号(現行147条1項1号)の「裁判上の請求」またはこれに準ずる時効中断事由に該当するか。
規範
民法上の「裁判上の請求」等に準ずる時効中断事由に該当するためには、裁判上の手続において権利を主張してその確定を求め、または債務の履行を求めるものであり、かつ、その権利主張が債務者に到達することが予定されていなければならない。
重要事実
不動産に対する強制競売手続において、執行裁判所から民事執行法50条の規定に基づく催告を受けた抵当権者が、自己の被担保債権について「債権の届出」を行った。その後、当該債権の消滅時効の成否が争点となり、この「債権の届出」に時効中断効が認められるかが争われた。
事件番号: 昭和47(オ)723 / 裁判年月日: 昭和50年11月21日 / 結論: 棄却
物上保証人に対する抵当権の実行により、競売裁判所が競売開始決定をし、これを債務者に告知した場合には、被担保債権についての消滅時効は中断する。
あてはめ
債権の届出は、執行裁判所に対し不動産の権利関係や売却の可否に関する資料提供を目的とするにすぎず、債権の確定を求めるものではない。また、登記のある抵当権者は届出の有無にかかわらず配当等を受けるべき債権者として扱われる(民執法87条1項4号)。さらに、手続上も債務者への通知が予定されていない。したがって、債務の履行を求める「請求」としての実質を欠き、債務者に権利主張が到達することも予定されていないといえる。
結論
債権の届出は「裁判上の請求」等に該当せず、時効中断(更新)の効力は認められない。
実務上の射程
抵当権者が時効を確実に中断させるには、自ら競売を申し立てるか、配当要求、あるいは別途訴えの提起等を行う必要がある。答案上は、時効中断事由の存否が争われる場面で、手続の目的(資料提供か権利確定か)と債務者への通知予定の有無を指標として射程を検討する際に用いる。
事件番号: 昭和46(オ)1015 / 裁判年月日: 昭和47年12月26日 / 結論: 棄却
更生担保権の届出がなされても、更生担保権確定の訴が、民訴法二三八条により取り下げられたものとみなされたときは、右届出は、時効中断の効力を生じないと解すべきである。
事件番号: 昭和62(オ)1076 / 裁判年月日: 昭和63年3月15日 / 結論: 破棄差戻
言渡期日の指定なくしてされた判決の言渡は、民訴法三八七条にいう「判決ノ手続カ法律ニ違背シタルトキ」に当たる。
事件番号: 昭和32(オ)1093 / 裁判年月日: 昭和33年5月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不在者から自己の所有財産の管理や子女の養育など一切の処理を委託され実印を預けられた者は、不在者の財産管理人として、財産の保存に必要な行為として本人に代わり訴えを提起するため、直接本人名義で弁護士に訴訟委任をなす権限を有する。 第1 事案の概要:被上告人(本人)は、家出をするに際し、養母Dに対して自…
事件番号: 昭和27(オ)653 / 裁判年月日: 昭和30年9月9日 / 結論: 棄却
一 農地の贈与についての知事の許可は、贈与の成立前になされることを要せず、許可のあつたときから右贈与は効力を生ずるものであり、許可当時贈与者が既に死亡していても、その効力の発生を妨げない。 二 受贈者に対する土地所有権移転登記が、死亡している贈与者名義でなされた場合であつても、右登記が死亡者およびその相続人の意志に反し…