言渡期日の指定なくしてされた判決の言渡は、民訴法三八七条にいう「判決ノ手続カ法律ニ違背シタルトキ」に当たる。
言渡期日の指定なくしてされた判決の言渡と民訴法三八七条にいう「判決ノ手続カ法律ニ違背シタルトキ」
民訴法152条,民訴法188条,民訴法387条,民訴法396条
判旨
判決の言い渡しは、あらかじめ指定された期日に行われなければならず、言渡期日の指定および告知を欠いた状態で行われた判決は、判決手続の法律違背として破棄を免れない。
問題の所在(論点)
判決言渡期日の指定および当事者への告知がないまま判決が言い渡された場合、当該判決の手続は法律に違背したものとして破棄されるべきか。
規範
判決の言い渡しには、相当な期間を置いて期日を指定し、これを当事者に告知することを要する。言渡期日の指定・告知がないまま判決を言い渡すことは、民事訴訟法が定める適正な手続(現行法251条、93条、94条等)に違反し、絶対的控訴理由ないし上告理由となる「判決の手続が法律に違背したとき」に該当する。
重要事実
原審において、昭和62年3月3日の口頭弁論終結時に、同年4月21日を言渡期日として指定告知した旨が調書に記載されていた。しかし、実際の判決正本には「昭和62年5月26日判決言渡」と記載されていた。記録上、4月21日に期日が開かれた形跡や、期日が変更された事実、あるいは5月26日が改めて言渡期日として指定・告知された事実は確認できなかった。
事件番号: 平成1(オ)653 / 裁判年月日: 平成元年10月13日 / 結論: 棄却
不動産強制競売手続において催告を受けた抵当権者がする債権の届出は、その届出に係る債権に関する裁判上の請求、破産手続参加又はこれらに準ずる時効中断事由に該当しない。
あてはめ
本件記録によれば、当初指定された4月21日に言渡が行われた形跡はなく、実際に言い渡されたとする5月26日についても、その期日が適法に指定されたと認めるに足りる資料が存在しない。そうすると、本件原判決は「言渡期日の指定なくして言い渡されたもの」と評価せざるを得ない。当事者がいつ判決が下されるかを知り得ない状態での言い渡しは、手続の透明性と予見可能性を損なう重大な手続違背である。
結論
原判決の言渡手続は法律に違背するため、原判決を破棄し、本件を原審である東京高等裁判所に差し戻す。
実務上の射程
民事訴訟における言渡期日の指定・告知という基本的手続の欠缺が、判決の効力そのものに影響を及ぼす絶対的な手続違背(現行民訴法306条、312条2項6号参照)であることを確認した判例である。実務上、期日の変更や続行が繰り返される場面での事務的懈怠が致命的な瑕疵となることを示唆している。
事件番号: 昭和42(オ)1472 / 裁判年月日: 昭和44年2月13日 / 結論: 破棄差戻
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事件番号: 昭和39(オ)321 / 裁判年月日: 昭和40年2月19日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和25(オ)377 / 裁判年月日: 昭和27年12月4日 / 結論: 棄却
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