判旨
憲法25条は国に対して国民の健康で文化的な最低限度の生活を保障すべき指針を示すものであり、民事事件の判決が明渡義務を認めて同居を命じたとしても、直ちに同条に違反するものではない。
問題の所在(論点)
裁判所が建物の明渡しや同居を命ずる判決を下すことが、生存権を保障した憲法25条に違反するか。
規範
憲法25条は、国の責務としての生存権保障の指針を示すものであり、私人間における権利義務関係を直接規律するものではなく、裁判所が法律に基づき建物の明渡し等を命ずる判決を下すことが直ちに同条に違反するわけではない。
重要事実
上告人らに対し、建物の明渡義務を認めるとともに被上告人との同居を命じた原判決が、憲法25条に違反するかが争われた。なお、本判決の文面からは建物の種類や当事者の詳細な関係などの具体的事実は不明であるが、憲法違反を理由とする上告事件である。
あてはめ
憲法25条はプログラム規定的な性格を有し、国の政治的義務を宣言したものである。裁判所が法的な権利義務関係に基づいて特定の場所からの退去や同居を命ずることは、法秩序の維持に必要な適法な司法判断である。本件において、原判決が明渡義務を肯定したことは、生存権の趣旨に照らしても直ちに憲法違反とはいえない。
結論
本件上告は棄却される。原判決が明渡義務や同居を命じたことは憲法25条に違反しない。
実務上の射程
民事訴訟における結論が当事者の生活基盤を損なう場合であっても、それを理由に直ちに憲法25条違反を主張することはできないことを示す。私人間における生存権の援用を制限する基準として位置づけられる。
事件番号: 昭和26(オ)220 / 裁判年月日: 昭和26年9月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賃貸人に切迫した必要がない場合であっても、唯一の住居の明渡しを求めることが直ちに憲法の精神に反するものではなく、民事上告の適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人(賃借人)は、被上告人(賃貸人)から唯一の住居の明渡しを求められた。上告人は、被上告人に切迫した必要がないにもかかわらず…