判旨
不動産の所有権の帰属を認定するに際し、原審の挙示した証拠に基づき所有権を認めた判断は、諸般の事情を考慮しても経験則や条理に反するものではない。
問題の所在(論点)
事実認定において、原判決が証拠に基づき不動産の所有権を認定したプロセスが、経験則や条理に反し、違法なものといえるか。
規範
事実認定における自由心証主義の限界として、その認定プロセスが経験則(人間社会の経験から導き出される法則)や条理に著しく反しない限り、裁判所の事実認定は正当なものとして維持される。
重要事実
不動産の所有権の帰属が争われた事案において、原審は証拠に基づき被上告人の所有権を認めた。これに対し上告人は、原審の事実認定には経験則や条理に反する点があり、理由不備があるとして上告した。
あてはめ
原判決が挙げた証拠を精査すると、本件不動産の所有権が被上告人にあることを認めるに足りる内容である。上告人が主張する諸般の事情を考慮したとしても、原審が導き出した結論が経験則や条理に抵触するとまでは評価できない。また、上告人の主張は独自の事実前提に立つものであり、原判決の論理構成に不備があるとはいえない。
結論
原判決の事実認定に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は、事実認定における経験則違反の主張が認められるためのハードルが高いことを示している。実務上は、認定の前提となる証拠の評価が著しく不合理である場合にのみ、経験則違反を論じる余地がある。
事件番号: 昭和37(オ)671 / 裁判年月日: 昭和38年10月18日 / 結論: 棄却
原審において主張なく認定のない事実をもつて原判決の確認の利益に関する判断を非難することは、上告理由として採用できない。
事件番号: 昭和39(オ)1197 / 裁判年月日: 昭和40年11月16日 / 結論: 棄却
売買契約解除の場合に割賦支払済代金は売主において没収する特約があつたとの原告主張を被告が否認する旨主張しているからといつて、原告の原状回復請求に対し、支払済代金の返還をもつて同時履行の抗弁を提出したものとは解されない。
事件番号: 昭和27(オ)575 / 裁判年月日: 昭和29年5月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賃貸借または転貸借に基づき農地を適法に占有耕作している事実に加え、行政処分である買収処分が正規の手続を経てなされた場合には、当該処分は有効であり、不法占拠等の瑕疵は認められない。 第1 事案の概要:上告人は、被上告人(Bを除く)らが判示農地を占有耕作していることに関し、農地買収処分の無効等を主張し…
事件番号: 昭和33(オ)792 / 裁判年月日: 昭和36年1月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所は、証人の証言の一部を採用し、他の部分を措信しないという自由な評価を行うことが認められる。また、当事者の主張と供述が一貫している場合には、それに基づき事実を認定することが可能である。 第1 事案の概要:被上告人は、係争地を含む山林を買い受けたと主張していた。第一審および第二審において、証人D…