原審において主張なく認定のない事実をもつて原判決の確認の利益に関する判断を非難することは、上告理由として採用できない。
確認の利益の有無を争う事実と弁論主義。
民訴法225条,民訴法186条
判旨
確認の訴えにおいて、原審で認められた自己の所有権を上告審で争うことは上告理由とならず、また撤回した証拠の不採用や原審で主張しなかった新事実に基づく非難は許されない。
問題の所在(論点)
1.自己の所有権を肯定した原判決を論難することが上告理由となるか。2.原審で主張しなかった事実を上告理由の基礎とできるか。3.撤回した証拠を裁判所が採用しなかったことが釈明義務違背や審理不尽に該当するか。
規範
確認の訴えにおける訴えの利益および上告理由の適格性について。第一に、自己の請求が認容された判断を論難することは上告適法の理由とならない。第二に、原審で主張されなかった事実は上告審において原判決を非難する根拠とはなし得ない。第三に、当事者が自ら撤回した証拠申出について裁判所が証拠調べを行わなくとも、審理不尽や釈明権不行使の違法は存しない。
重要事実
上告人は、本件係争地が自己所有の土地(福島県双葉郡内の特定地番の畑)に属することの確認を求めた。原審は、当該地番の土地が上告人(控訴人)の所有に属することを認めたが、係争地がその地番の範囲内には含まれないと判断した。上告人は、被上告人が先代の時代から所有権を争っているため確認の訴えが必要であると主張したが、その事実は原審で認定されていなかった。また、上告人は一度証拠申出を撤回した証拠に基づき、審理不尽等を主張して上告した。
あてはめ
1.原判決は上告人が求めていた地番の土地所有権を認めており、上告人に有利な判断である。これを論難することは上告の利益を欠く。2.被上告人が所有権を否定しているという事実は原審で主張・認定されておらず、上告審での新たな事実主張は許されない。3.所論の証拠は、上告人自ら第九回口頭弁論期日で撤回したものである以上、これを取り調べなかったことに釈明権不行使や審理不尽の違法は認められない。
結論
本件上告は棄却される。上告人に有利な判断に対する不服申し立てや、撤回済みの証拠に基づく違法主張は認められない。
実務上の射程
確認の利益の有無を判断する前提としての事実主張は原審までに尽くす必要があること、および、自ら撤回した証拠に基づき後から審理不尽を主張する信義則に反するような態度は許されないことを示す実務上の指針となる。
事件番号: 昭和28(オ)1007 / 裁判年月日: 昭和31年5月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分に瑕疵がある場合でも、その瑕疵が重大かつ明白でない限り、処分は当然無効とはならず、出訴期間経過後はその効力を争うことができない。住所地の判定が困難な状況下で行われた不在地主としての農地買収処分は、事後的に在村地主と判明しても当然無効には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、自作農創設特…
事件番号: 昭和30(オ)507 / 裁判年月日: 昭和32年10月31日 / 結論: 破棄差戻
書証の記載およびその体裁から、特段の事情のない限り、その記載どおりの事実を認めるべきである場合に、なんら首肯するに足る理由を示すことなくその書証を排斥するのは、理由不備の違法を免れない。
事件番号: 昭和39(オ)1197 / 裁判年月日: 昭和40年11月16日 / 結論: 棄却
売買契約解除の場合に割賦支払済代金は売主において没収する特約があつたとの原告主張を被告が否認する旨主張しているからといつて、原告の原状回復請求に対し、支払済代金の返還をもつて同時履行の抗弁を提出したものとは解されない。